「ねー」
「…何だよ…」
にこにこと笑うこいつは、まぁ可愛い。黙ってれば。黙ってれば!大事な事だから2回言う。騙されんなよ男子!
「喉渇いたなぁ」
「…へー」
「ひょー助ー、午後ティー買ってきてー」
ほ ら 来 た !
こいつが満面の笑みを向けてくる時は、大抵オレをパシりたい時だ。何度目だこんにゃろう、と思う。思いはする。が、ある意味素晴らしいテストの点数、その他諸々のオレの黒歴史を、こいつはばっちり知っている。
「…ストレート?」
「レモンー」
断れる訳がない。
がしゃん、
とりあえず先に、オレのサイダーを買った。夏は炭酸が飲みたくなるもんだ。葉月は炭酸がダメらしく、飲んだ瞬間意味のない声を上げていた。
「…で、レモンと」
「あ、氷ー。何してんだー?」
「あ?」
ぽち、
…振り返ったせいで、指の照準がズレた気がする。見ると、自販機が吐き出したのは午後ティー(レモン)の隣のボスだった。しかもブラックとか。飲めねーよ、オレも吹雪も。
「葉月てめええええ」
「え、何、何かしたオレ!?」
「黙ってこれ飲めアホ」
「ブラック!?無理無理無理」
「ボスの言う事聞けねーのかコラ」
結局、また小銭を入れて今度こそ目的のボタンを押すのは、オレがあの我が儘娘をそれなりに好きだからである。
「変な意味じゃなく」
「何ぶつぶつ言ってんのひょー助ー」
110407
結局仲良し。