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#4 思い出は奇麗なままで


埃を被った古い絵本

「久しぶりね」

ふと声を掛け記憶を辿る


こんな表紙だったかしら

もっと煌びやかで愛おしい

無垢な世界を夢見ていた


時折見せる懐かしい頁

思わず笑みを零してしまう


だけれども、

こんな物語だったかしら

こんな終末だったかしら

微笑み半分に落胆した


ぱたん、と本を閉じれば

嗚呼

奇麗なお話のまま掘り返さなければ良かったわ



2021/05/31 22:51 (0)

#3 愛していた、の


遠い記憶がチカチカ光る

グラスに注いだ炭酸が消えてゆく


空白を埋めるにはまだ足りなくて

期待なんて見せずに笑った


貴方からは聞きたくなかった

ただ、それは。


「愛してる」なんて、

貴方が最初に言ったのよ



2021/01/31 21:02 (0)

#2 真逆のそれ


静かな日差しの中、喧騒と共に

真昼に夕闇と過ごす

照りつける太陽が涙を流す


「狐の嫁入りね。」



2020/09/04 15:51 (0)

#1 ココアを一杯


甘いココアを片手に

そっと、ゆっくり、見つめる


ざわつく心は知らん振り

別に、気にしてないよって


ほろ苦いそれに、角砂糖をひとつ

ぽちゃり。

気づいて。気づかないで。


なんて甘ったるいココアだろうか



2020/09/04 07:22 (0)

#0 それでも僕は、


今でも思う

あの時の選択は正しかったのだろうか

いくら考えたところで答えは出ないし、意味もない


それでも思ってしまうのは

今でも後悔しているからだろうか

もしもを考えては黒を見る


それでも僕は、



2020/07/17 17:31 (0)
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