#4 思い出は奇麗なままで
埃を被った古い絵本
「久しぶりね」
ふと声を掛け記憶を辿る
こんな表紙だったかしら
もっと煌びやかで愛おしい
無垢な世界を夢見ていた
時折見せる懐かしい頁
思わず笑みを零してしまう
だけれども、
こんな物語だったかしら
こんな終末だったかしら
微笑み半分に落胆した
ぱたん、と本を閉じれば
嗚呼
奇麗なお話のまま掘り返さなければ良かったわ
2021/05/31 22:51 (0)
#4 思い出は奇麗なままで
埃を被った古い絵本
「久しぶりね」
ふと声を掛け記憶を辿る
こんな表紙だったかしら
もっと煌びやかで愛おしい
無垢な世界を夢見ていた
時折見せる懐かしい頁
思わず笑みを零してしまう
だけれども、
こんな物語だったかしら
こんな終末だったかしら
微笑み半分に落胆した
ぱたん、と本を閉じれば
嗚呼
奇麗なお話のまま掘り返さなければ良かったわ
#3 愛していた、の
遠い記憶がチカチカ光る
グラスに注いだ炭酸が消えてゆく
空白を埋めるにはまだ足りなくて
期待なんて見せずに笑った
貴方からは聞きたくなかった
ただ、それは。
「愛してる」なんて、
貴方が最初に言ったのよ
#1 ココアを一杯
甘いココアを片手に
そっと、ゆっくり、見つめる
ざわつく心は知らん振り
別に、気にしてないよって
ほろ苦いそれに、角砂糖をひとつ
ぽちゃり。
気づいて。気づかないで。
なんて甘ったるいココアだろうか
#0 それでも僕は、
今でも思う
あの時の選択は正しかったのだろうか
いくら考えたところで答えは出ないし、意味もない
それでも思ってしまうのは
今でも後悔しているからだろうか
もしもを考えては黒を見る
それでも僕は、