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「先輩は、色恋には興味無いんですか?」
「俺はー…ほんの少ーしな」
そう言って先輩は苦笑いを浮かべる。
「じゃあ、好きな人とかは?」
「多分、居るな」
「何で曖昧な答えなんですか;」
「まだ正確には言えないから。第一、お前に教えたって無意味だろ?」
「まぁ、そりゃそうですけど…」
私は、こんな事を言う先輩がとても意外に思えた。
だって先輩は絶対色恋には興味無い人だと思ってたから…。
それと同時に、少しだけ‘無意味’の一言にショックを受けた。
「お前は?」
「はい?」
「お前はどーなんだよ?そーいうのに興味あんのか?」
「…無いといえば嘘になりますけど…。あんまり…」
多分私は、そこら辺の同世代の女の子に比べたらそういう話には疎いと思う。
「じゃ、憧れの人とかも居ねーのか?」
「そういう意味で憧れの人は居ませんけど」
「そーかよ」
私がそう答えると、先輩はいきなり立ち止まって私に向き直った。
そして一言。
「じゃ、俺にもまだチャンスがあるって事だよな?なまえ」
「え……?」
ちょっと不敵な笑みを浮かべながらそう言った。
確かに言った。
目は真っ黒で真っ直ぐ私を見据えていて。
そんな先輩と目が合った瞬間、この人は私の中に‘憧れの人’としてインプットされた。
勿論、‘忍として’とは別の意味で…。
私のつまらない日常一瞬で崩れ去った。
星南様相互記念
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