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「あー、疲れた…」
カカシ先生がいなくなってからしばらくして、すべての本の整理が終了した。一体何冊あったんだろうね。数えたくないけども!!
少し書庫の埃を被った肩をパンパンとはたき、綱手様の所へ向かった。
コンコン…
「綱手さまー、本の整理全部終わりました」
「入れ」
よし、今度はちゃんとノックしたから怒られないぞ。
「ご苦労だったな」
「まー、よくあんなに本を溜め込みましたね」
私でもあそこまでは溜め込みませんよ、と言うと、綱手様は苦笑いをした。
「いやー、何回も読むもんだから、いつの間にかしまう回数が減ってきてね」
「へぇ…」
あれ?それってただのものぐさじゃね?ただ単にいちいちしまうのがめんどくさくなってきてるだけじゃね?
…そんなこと死んでも口にしないけど…。
「また何かあったら連絡する」
「わかりました」
出来ればもう何も起こらないでほしいけどね!!
そんな限りなく0%に近い確率の願い事をしながら、建物を後にした。
外に出ると、太陽は少し西側に傾いてるようだった。
全く…、あんなになるまで放っておかないでよねー本当。片付けるこっちの身にもなってほしいものだ。
まぁ、一番良いのは綱手様本人が本を片付けてくれることだけど…。どうせこれからは私の役割になるんだろうからね。
そんなことを考えながら歩いてると、前方に見覚えのあるちょんまげ頭を発見。
「シーカーマールゥー!!」
「ぐはっ」
迷わず駆けて行って、頭上にチョップをお見舞いしてあげた。
「ってーな…!!いきなり何すんだよお前!!」
「ごめんごめん、手がすべった」
「絶対わざとだろ…」
シカマルは少し前屈みになりながら、私のことをギロっと睨む。
「何してるの?」
「あ?任務の帰りだ」
「奇遇だねー、私も任務の帰りだよ」
「おま…いつの間に通常任務につけるようになったんだ?!」
「うん、任務という名の雑用だけど」
「…なるほど」
シカマルは小さくため息をついた。
「まぁ、立ち話もあれだし、とりあえず一緒に帰りましょうか」
「あれって何だよ…」
最後のシカマルのつぶやきは無視して、(いちいち返答するのめんどくさい)私達は帰路についた。
特に喋ることもなく、何となく二人で歩く。
何気なくチラッとシカマルの横顔を少し見上げると、細かい切り傷や掠り傷が私の目に入った。
そういえば、服も所々汚れが目立つ箇所がある。
「…任務、大変だったの?」
「どーしたよ急に」
「だってほら、少し怪我してるし…」
そういってシカマルの頬を指差すと、張本人は自分で触って確かめ、フッと笑った。
「こんなの怪我のうちに入んねぇよ」
「でも赤くなってるよ?」
「…あのな、俺達にとっちゃこれくらい日常茶飯事だっつーの。逆に掠り傷一つない日なんてのは滅多にあることじゃねぇから」
「そーなんだ…」
やっぱり、忍者って大変なんだ。
私がこっちに来てから、この世界のことはシカマルに大体教えてもらって理解したつもりだ。
上忍、中忍、下忍のうち、シカマルは小隊長クラスの中忍。それなりに危険な任務もあるんだろうな…。
「…まぁ、心配してくれるのは有り難いことだけどよ」
「ん?」
そう言ってシカマルは、私の頭にポンと手の平を乗っけてニッと笑った。
「それより、琴音は今日なにやったんだ?」
「私はー、綱手様がしまわないで溜め込んだ本の山の整理。午前中全部!」
「うわ…」
「よくあんなになるまで放っておくよねぇ…。いつもは誰が整理してるんだろうね?」
「あー…」
シカマルは言いながら遠くを見つめる。思い当たる節でもあるのかな?
「そうそう、途中でね、カカシ先生に会ったんだ」
「カカシ先生が書庫に?」
「うん。自分の本を取りに来たって」
「自分の、本…」
「凄いと思わない?だって上忍って半端なく任務大変なんでしょ?その忙しい間にしっかり読書してるって…!!」
「……」
「さすが!カカシ先生はただの上忍じゃないよね。シカマルも見習った方がい…あれ?シカマル?」
いつの間にかシカマルはまた遠くを見つめている。
「…お前、本気でそう思ってんのか?」
「うん?え、違うの?」
私がそう聞き返すと、ため息が一つ聞こえた。
「その本の内容、知ってて言ってんのか?」
「ううん。カカシ先生教えてくれなかったし。あ、もしかしてシカマル知ってるの?」
「あ?あー……、俺も知らねぇな」
「本当に?なんか声上擦ってるけど」
「気のせいだろ」
「そうかー、シカマルも知らないんだー…。きっと独り占めしたいほど良い話なんだろうなー」
「……」
私達が一緒に歩き始めて少し経った頃、シカマルは途端に喋らなくなってしまいました。
あれ?何で?
――――――
ヒロインさんしっかりと火影様にパシられてます(笑)
それにしても…、何か途中でカカシ先生っぽい人を出してしまいました←
カカシ先生の口調難しい…
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