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「はぁ……」
あの後、ツナデ様から強制的に退室させられ、私は一人途方にくれながら歩いていた。
結局、あの人の剣幕に圧倒されて何も自分の話を出来なかったのだ。
「どうるすんだよ、これ…」
辺りはすっかりオレンジ色に染まっていて、心なしかさっきよりも人が増えている気がする。
あーぁ、早く帰らないとお母さん心配するかな…。
…ん?
そうだ、さっさと元の道帰らなきゃ!!
ちょっと遊んでからなんて考えないで、さっさと帰れば良かったんだ。
無駄に怒鳴られる必要なかったじゃん!
そう考えながら、私の足は最初に突っ立っていた場所に向かう。
そして、私は最初に自分が立っていた場所に着いた。
確かここら辺のはず…
「あった!!」
曲がり角を見つけると、私は一目散にそこに駆け出していった。
こんな所に長居する必要は無いんだ…!!
そう思っていたのに、
「…う、嘘……」
いざ曲がり角を覗いてみると、そこは元の場所ではなく、両側に無機質な壁がある普通の路地裏だった。
それから私は、道を見つけてはそこを覗く、という作業を繰り返していた。
冗談じゃない…!!こんな場所、さっさと抜け出して家に帰るんだから…!!
しかし、どんなに探しても元の場所に帰る道は見つからなかった。
「はぁ…」
いい加減体力に限界がきてその場に座り込む。
信じらんない…。何で、何でこんなに探しても帰る道が無いわけ…?!
しかも何でみんな私の事知ってるの…?任務って何?
考えれば考えるほど、疑問に思うことはキリが無い。
しかし、それらの疑問は今の私には解決できないものばかりだった。
はぁ…。本当にどうすればいいんだ…?
「おい、」
「…何ですか」
一人途方にくれていると、またまた変わった見た目の男の子が声を掛けてきた。
「なにやってんだよこんな所で」
「さぁ…?何でしょうね」
この人の口ぶりだと、やっぱり私の事知ってるのかな…?
まぁ、もうどうでもいいや…。
「お前、琴音だよな?」
「そうです。桐沢琴音ですけど何か?」
私は半ばヤケクソになって質問に答えた。
「いや、何だか変わった格好してんなーって…」
「変わった格好?」
「今着てる服。普段そんなの着ねぇだろ?」
今着てる服とは、学校の制服の事だ。え、なんかおかしい所ある?
「やだなー、別に普通だし。てか、私はむしろあなたにその質問を返したいです」
「俺か?」
「そう。そのちょんまげ頭。男なら男らしく短く切ったらどうなんですか?」
「…いつもだろ。てか、今までそんな事言ってなかったじゃねぇかよ」
男の子は、少し面倒くさそうに言うと、私の隣に腰を下ろした。
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