番外編  | ナノ
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目の前に立つ轟くんの冷たい威圧感に固唾を呑む。
騎馬戦では麗日さん達のおかげで轟くんからハチマキを取り、最終種目に進むことが出来た。
騎馬戦でのことかと思いきや、オールマイトの隠し子かと言われ思わず目が点になる。そういえば体育祭が始まる前にオールマイトに気にかけられてる、と話をされていたのを思い出した。
でも何で轟くんはその事に固執するんだろうか。そう思い尋ねると、轟くんは自分のお父さんであるエンデヴァーのこと、そして……彼自身の生い立ちについて話してくれた。

自身の子をオールマイトを超えるヒーローにするために個性婚によってエンデヴァーが轟くんのお母さんの個性を手に入れたこと。
2人のお兄さんと1人のお姉さんがいて、轟くんには双子のお姉さんがいたこと。
轟くんが両親の個性を持って生まれた代わりに、双子のお姉さんは無個性として生まれてしまったこと。
無個性として生まれてしまったがために、双子のお姉さんは養子に出されてしまったこと。
そして、そのために気を病んでしまったお母さんが轟くんの顔の左側に煮え湯を浴びせたこと。

その話を聞いて、僕は言葉を失った。
轟くんの双子のお姉さんのことを思うと、僕が悩んでいたことはほんのちっぽけなものにすら思えた。
だって、そんな、あんまりじゃないか。無個性だったために実の親に捨てられてしまうなんて。
もしも自分が同じ立場であったらと思うと吐き気すら込み上げてきそうで。それを轟くんはずっと傍で見てきたんだ。

……でも、それでも僕だって負けらんないんだ。
応援されて、救けられてここにいる。だから轟くんには負けられない。
自分自身に言い聞かせるように、轟くんに宣戦布告をした。


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