明日は明日の風がふく | ナノ
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 ※捏造過多です


 スタート早々に拳藤の個性によってハチマキを奪われ、私達は現在0ポイントのまま7分が経過した。
 鉄哲チームのハチマキを狙うが、塩崎の広範囲に妨害が可能な個性で迂闊に近づけない状況にあり、他のチームの動向を探る。

「物間が取った!」

 凡戸の言葉に前を向く。
 爆豪勝己のハチマキを物間が取り、物間チームが2位に繰り上がる。爆豪勝己のチームのハチマキさえ取れれば上位4位に入り、最終種目に進出できる。爆豪勝己の騎馬では凡戸の個性は分が悪かったけれど、物間の騎馬であれば勝機はある。

「あのハチマキがあれば上位に食い込める!ババっと取るぞ!!」

 吹出の言葉に物間の騎馬に狙いを定める。
 爆豪勝己がハチマキを取られたことに激昂する中、緑谷くん達に目を向けると焦凍と対峙していた。残り時間は既に半分を切り、高ポイントのハチマキを手に入れようと各チームが緑谷くんと焦凍のチームを狙う。

「いいよ分かってる!!しっかり防げよ…」

 焦凍のチームが前進し、上鳴が声を上げる。

「凡戸くん!!後方に個性で壁を作って!」
「えっ?ああ、わかった!」

 凡戸の個性によって騎馬の後方に接着剤でできた防壁が作られる。それと同時に焦凍達を中心にして電流がグラウンド上に流れた。周囲のチームが感電し動けなくなる中、防壁は絶縁体であるため私達は感電することはなかった。

「あっぶねー!!」
「ありがとう凡戸くん」
「あぶなかったねえ。って、A組も物間のハチマキ狙いか!」
「取らせないぞ!…………今だ!」

 前方では物間と爆豪勝己が交戦している。物間が爆豪勝己のように掌を爆破させ攻撃し、切島のように体を硬化させて爆豪勝己の攻撃を防いだ。あの個性はどれだけの数の個性をコピーできるんだろうか。
 吹出の言葉を合図に、凡戸の個性によって爆豪勝己のチームを妨害するように接着剤で動きを封じる。

「待て!」

 逃げ切ろうとする物間の騎馬を追いかける。
 固められた爆豪勝己の騎馬が慌てふためく声が聞こえ、後ろを振り返ると爆豪勝己と目があった。爆豪勝己が睨みつけてくるが、妨害は私の策ではない。B組によるクラス単位での妨害行為だ。爆豪勝己から視線を外し、前へと目を向けた。

 残り時間約1分という言葉と共に緑谷くんが1000万ポイントを保持したまま焦凍と戦っているという実況に、2人のいる方向へと目を向ける。氷結を警戒しているのか常に焦凍の騎馬の左側に立つ緑谷くん。けれど、焦凍の個性は氷結だけではない。炎熱の個性のことも考えれば左側ばかりに寄るのはリスクが高いのではないか。
 そのとき、瞬きをした一瞬の隙に上がった黒煙によって緑谷くんと焦凍の姿が見えなくなった。実況から飯田くんの個性によって焦凍が1000万ポイントのハチマキを奪い、緑谷くん達が0ポイントになったことを知った。

「物間のハチマキが取れりゃ上位確実だ!バシッと取れよ!小大!!」
「ん!」

 吹出の言葉に小大が強く頷く。物間チームに向かって走る速度を上げるが、その上を爆豪勝己が跳び越える。物間チームの防壁を力業で破った爆豪勝己によって、物間チームのハチマキが2本奪われた。
 あと残り1本、665ポイントのハチマキが残っている。物間の残りのハチマキを狙って小大が手を伸ばしたが、物間によって空気を固めた壁に足を止められる。腰に提げていたトンファーで壁を割るが、その隙を滑るように物間チームとの距離を詰めた爆豪勝己のチームによって、物間チームの最後のハチマキが奪われた。
 沸き立つ歓声と共に残り時間があと20秒と告げられた。

「クッソー!取られた!!どうする!?」
「鉄哲だ!」

 凡戸の指を差した方向には私達に背を向けた鉄哲チームと心操チームが対峙していた。鉄哲チームに向かって走るが、彼らが気付く様子はない。心操だけが、私達に目を向けた。
 心操がチーム決めのときと同じように、眉を顰めた。

「物間だっけ?散々A組のこと煽っておいてあのザマか。ヒーロー科も一部だけで他はたいしたことないんだな?」

「ッ反応するな!」

 あからさまな挑発に凡戸達に咄嗟に声をかけるが、小大以外の2人が心操の言葉に反応し、動きを止めた。これが心操の洗脳の個性か。
 押しても引いても動くことのない凡戸に何が起きたのか分からないといった表情を浮かべた小大と目が合う。
 実況と共に観客の10カウントがはじまる。

「さすがに解除のしかたまでは分かんないか……」

 心操の呟きに彼に目を向ける。眉を顰めてはいないものの、凡戸達の動く気配はない。
 残りのカウントが5を切ったところで、心操チームが動き出し鉄哲チームのハチマキを奪っていった。
 順位と獲得ポイントが映し出されているモニターを見る。緑谷くん達のチームの得点は70ポイント。上位圏外だった。

『TIME UP!』

 騎馬戦終了の合図と共に、爆豪勝己が顔面を地面に打ち付けた姿が見えた。




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