明日は明日の風がふく(旧) | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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緑谷くん達と共に昼休みを過ごした日の午後、彼らA組の授業中に敵が襲撃された。

敵襲撃直後、全生徒は直ちに帰宅することになり、A組が敵に襲撃されたということと翌日の臨時休校については雄英からの一斉メールにより知らされた。
メールを見た直後に緑谷くん達にLINEをしたが、命に別状は無いと返信があり安堵した。

この事件は全国で放送され、敵の主犯格と思われる男のモンタージュ写真も公開された。その男、死柄木のモンタージュ写真は、雄英のセキュリティが突破された時に私が遭遇した不審者にとてもよく似ていた。


このことから襲撃時の主犯格で雄英に侵入した死柄木という男は同一人物であると考えられるが、そのことに関しては登校した時に石山先生から直接緘口令が敷かれた。


敵に襲撃され全員欠けることなく生き残った1年A組は、体育祭が近づいていることもあって、全生徒の注目の的となった。
私達C組はグラウンドへ体力テストのために集まっていたが、そのクラスメイト達の話題もA組のことで持ちきりだった。

「1年A組すごいよなー。模擬戦とかじゃなくて実戦だったんだから」
「でも、どこもA組A組って、うざくね?個性が良かっただけだろ」
「強い個性持ってる奴らが羨ましいよ」
「な。こんな個性じゃなかったらなー。俺だってさぁ入試結果良かっただろうに」
「不公平だよなー世の中。強い個性がありゃ何でもできんだからよ」

速見達のグループがA組の話を不満げに口にしているのが聞こえる。
しかし、このクラスはヒーロー科の滑り止めで普通科に来た者が多いからなのか、速見のグループだけでなくクラスメイトの大半がA組への賞賛以上に個性への不平不満をこぼしていた。

「まぁでも、無個性よりはマシだけどな」
「ギャハハハ!!それな!!アイツに比べたら全然いいよな!!」

速見が嘲笑するのに合わせて周りも笑いだす。
そして、他のグループも速見達に合わせて笑っていた。

「まぁ確かに他のクラスに比べたらさ、特待生がいるし」
「ね、勉強するしかない無個性よりマシだよねー」

誰かが何かを言うたびに笑いが起こり、空気が淀んでいくのを感じながら、準備体操を続ける。
ストレスを発散しようとして、よりストレスになっているのが分からないのだろうか。

「なぁ、どう思うよ?ナードちゃん?」
「無個性に聞いたって分かんないっしょ!」

下卑た笑みを浮かべた彼らの言葉に、周りも同じような顔をして笑う。

全てを個性に結び付けようとする彼らに、溜め息しか出ない。
自分の行いを省みず、個性ばかりを言い訳にしている彼らに次第に怒りを覚えた。

「良い個性じゃないからヒーロー科に行けなかったっていうのはただの言い訳でしょ」
「は!?お前に何がわかんだ、っ!?」

「それ、どういうこと?」

吼える速見を押しのけて、突然心操が私の前に立った。
笑みを浮かべているが、心操の目は決して笑っていなかった。

「言葉の通りだよ。出来ないことは個性のせいにして逃げて、下を見て自分は大丈夫だと安心して努力をしようともしない。これが言い訳以外のなんだというの?」


普段は何も言い返さない人間が言い返したからなのか、私の周りのクラスメイト達は静まり返った。

緑谷くんは無個性だったが、弱音も吐かずに死に物狂いで努力して、ヒーロー科に合格した。
それに比べて、彼らは常に何かにつけて不満ばかりを言って行動を起こそうともせず、A組は良い個性を持っているからと決め付けているのが許せなかった。

「……じゃあアンタは無個性を言い訳にしなかったって言うの」
「絶対にとは無いとは言わないけど、努力はしてきたよ」

石山先生がグラウンドにやってくるのが見えて、心操に背を向ける。
心操や速見、他のクラスメイト達の視線を背中に感じたが、誰も言葉を発しなかった。




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