雄英の入学式の日が来た。

受付で出席の確認をすませ、自分の学籍番号の書かれた紙の貼られている座席に座る。
私の座席は通路側の一番端にあり、隣の人はまだ来ていなかった。
ブレザーの内ポケットに式辞が入っていること確認し、入学式が開会するのを待つ。

ヒーロー科は一体どこに座るのだろうか。
新入生代表の挨拶は会場にいる人全員に向けて行うため、きっと緑谷くんも見るに違いない。
そういえば爆豪勝己はヒーロー科の入試に受かったのだろうか。
おそらく合格しているだろうが、さすがに入学式で暴れるようなことはしないだろう。
焦凍もきっといるに違いない。10年ぶりに顔を合わせる弟はどうなっているのだろうか。そもそも私のことに気付くのだろうか。

そんなことを考えていると、いつの間にか入学式が始まっていた。


校長の挨拶でヒーロー科の2クラスは入学式には参加しないでテストを行っているということを知った。
周囲から入学式からそんなことをやっているのか、などというざわめきが聞こえた。

焦凍とは顔を合わせずに済んだようで、安堵のため息を吐く。
先延ばしにしているだけだといわれれば、その通りだった。

式は進み祝電の披露で実父の名前が挙がった。
そういえば、雄英はあの人の母校でもあったと今思い出した。


『新入生代表挨拶、塚内赤音』

「はい」

立ち上がり、壇上へ向かう。
式辞紙を広げ、前を向いた。

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