教室が閃光に包まれた。
一拍置いて、耳をつんざくような雷鳴。
バケツをひっくり返したような雨が二人の動きを止めた。

「雨だ」

和臣が解りきったことを唇が触れるか触れないかの距離で呟くと、互いの手から力が抜ける。
完全に腰を折られた。
タイミングも勢いも、ムードも全て。
佐助が額を覆い大きな溜め息を吐くのを尻目に、和臣はテキパキと片付けを始める。


「帰るぞ、さっさと用意しろ」

「和臣先生。
俺様、傘持ってないんだけど」

一瞬、嫌そうに顔をしかめたが窓の外を見遣り仕方ないとばかりに立ち上がった。

「車を正面に回してくる。
電気を全部消してから来い」

立ち去る後ろ姿に緩く手を振って、足音が遠ざかるのを確認すると机の横に掛けておいた鞄を手に取り開く。


中から取り出したのは――折り畳み傘。
それを素早く机の奥へと捩込むと言われた通り電気を全て消し、不完全燃焼な燻る苛立ちを表すかのように乱雑にドアを閉めたのだった。





外は大雨、時々雷。
時刻は只今、午後8時12分。











人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -