※ちょっと下品



「じゅうしまつ…」
私はとても悩んでいた。


「どーしたのー?名前ちゃん」
へらりへらりと大口を開けながら十四松が聞く。


「わたし、色気がないらしい…」
そうなのだ、大学で仲いい子達で飲んでたときに出た話題は男の話。どうにも彼氏いない歴が年齢である私には色気というものがないらしい。ずばっと、それはもうずばっと可愛いミミちゃんに告げられたのだ。悲しいことこの上ない。

「んーー、たしかに名前ちゃんに色気ないかもー!」
えへえへと屈託のない笑顔で言い放つ十四松、ああほんと、やはりそうなのだろうか
ううう、と泣きそうになる。20にもなって彼氏がいない、ああなんて悲惨なんだ。

「うう…色気…色気がほしい…」
マキ子ちゃんのようなナイスバディになればいいのですか?どうしたら胸大きくなる?なんて男の十四松に聞く。わかるわけないのに!

「おれ、聞いたことある!揉んだらでっかくなるんだよ!」

…ああ、十四松くん…それは迷信だよ、信じているのかい…
「名前ちゃん!おれがでっかくしてあげるよ!!」
そう言うやいなや、いきなり胸を鷲掴みにされた。
…えっ?

「、ちょ、十四松くん?!…いっ」
こいつ、力加減というものを知らないのか!いたい、痛い痛い
容赦なく揉まれるわたしの胸、ああ…グッバイマイバスト…

「ん、あ、あれ?!名前ちゃん?!やっべー!泣いてる!!」
そりゃそうだ、そんながしがし掴まないでくれ抉れる

「い、いたい、んだけど…十四松サン…」
くそ、だんだん涙が出る。十四松に悪気がないのはわかってるのに
ぎょっとネコ目になった十四松は急いで手を離してぎゅっと私を抱きしめた
「や、やっべー名前ちゃん…」
ぎゅうううと効果音が聞こえるくらいに抱きしめられる。首がしまる、ことごとくこいつ力加減ができない…

「お、おれ…ちょっとむらっときちゃった」
途端のこの爆弾発言である。

「っちょ、は?!なにいってんの?!」
やばい、むらっときただなんて、この状況はやばい、わたしの貞操が…!

もぞもぞと十四松は動く、あれ、これホントにやばいんじゃないか?

「十四松、ストップ、ストップ!」
どんどんと胸板を叩くもびくともしない、あれ…こいつこんなに筋肉質だったの
って、ちょっとときめいてる場合じゃない!わたしの貞操の危機!


「っあー…名前ちゃん、おれ、名前ちゃんすきだ」

っえ?ここで?ここで告白?いや、てか好き?は?

「、いやいやいや?!十四松くん?!それ多分気の迷い!!」
だから離して、と言い終わる前にばっと身体を離された。なにごとかと思い十四松の顔を見あげると、いつになく、いや、むしろ初めて見たような真剣な顔をしていた。あれ…口閉じてるよ…


「気の迷いじゃないよ!おれ、名前ちゃんのことちょーすき」
不覚にも、不覚にもどきっとしてしまった。普段から想像出来ないような表情、火照った頬、これは…本当に春が来たらしい

「おれ色気ないとこも全部好きだから!!」
ひ、ひとこと余計である。
でも、きっとわたしのほっぺたは真っ赤に違いなかった。ねえねえ名前ちゃんはー?おれのこと好きー?なんて気づいたらいつものゆるゆるの表情に戻ってたけど、それでもわたしが返す答えは同じだった。


「う、うん…すき、だよ」
…この、場に流された感は否めないのだが。


ぃいよっしゃあああ!!なんて奇声を上げてまたわたしの胸を揉みしだく(もはや握る)のは言うまでもなかった。
そして、その声を聞いて駆けつけたおそ松たちがこのいかがわしい光景を見て顔色を変えるのも時間の問題であった。


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