俺の恋は後にも先にも高校時代のあの一回っきりだ。第一印象からもう最悪だったらしい俺は構ってほしさにしょっちゅうちょっかいかけてたんだけどそしたらいつの間にか物凄く嫌われてた。それが悔しくてしつこくしつこく構い続けたらもっともっと嫌われちゃって殺されかけたことも何度かある。だから結局俺の気持ちは引き出しに仕舞われたまんまになってとうとう打ち明けるタイミングを失ったんだ。
君は酷い勘違いをしていて、どんなに暴力振るっても俺は死なないと思ってた。殺すために公共物振り回す割には俺が上手いことよけてくれるのを期待してたのさ。本気で来るくせにいざ俺が血を流したり骨を折ったりするとまるで自分が殴られたみたいな顔をするから、ほんとに変な奴だよ。そうなると決まって俺を担いで新羅の所まで連れていくんだ。折られた脚の痛みとか優しく運ばれる空気とかが目茶苦茶になって眩暈がしたのを俺は確かに覚えてる。そういう無責任な優しさとかが君らしかったけど凄く苦しかったよ。俺は自分のやってることのえげつなさからよく人で無しなんて言われたりもしたけどこの時再実感したね、俺もちゃんと人間なんだなあって。
だからね、俺は死ぬんだよ。
人間だから。
殴られたら痛いし骨が折れたら悲鳴をあげたくなるし君に嫌われるのは苦しいし死ぬのは怖いけどでも死ぬ。
俺は人間だからね。
綺麗な花に囲まれて愛してくれた沢山の人に見送られて飛び切りの一枚を選んだ遺影はずっとずっと変わらなくて。
そうやって死んでいくんだよ。
ねえ。少し人間らしくなったからって簡単に死なないでくれるかな化け物のくせに。







引き出しの鍵はなくしちゃったよ。
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