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感情当てゲーム

感情受信体質。
相手が自分に向けている感情が刺さる感覚があるというサイドエフェクト。不意打ちや奇襲が看破できるという、戦闘の時にはかなり頼りになる能力。

しかし、普段の生活で奇襲も不意打ちもないので、持ち主をして「クソ能力」と言わしめる。

つまり、ボーダーじゃない俺にとっては、正直どういうもんなの?というレベルで。



「というわけで、俺が何か考えたらそれをカゲが当ててくれ」
「どういうわけなのかさっぱりわかんねーんだけど」
「察して」

学校帰り、カゲを拉致って家まで連れて来た。
家に来るまでに俺の感情が刺さったのか、すでにげんなりしている。しかし気になるのだから仕方がない。

「勝負は5回な。当てたらカゲの勝ち、当たらなかったら俺の勝ち。勝者には景品が与えられます」
「おい、いつそんな制度導入したんだよ。てかなんだよ景品て」
「後で考える。はい行くよ一回目よーいドン!」
「待てコラ、俺はやるだなんて一言も言ってねーだろうが! このボケみょうじ!」

胸ぐらをつかまれる。
元がヤンキー面だからか超怖い。
しかし殺されはしない、はずだ。多分。うん。恋人だもの。両手を狐にしてカゲを挑発すると、びきりと額に青筋が浮き出た。

さて、本当にわかるのだろうか。確か自分に向かった感情が刺さるんだよな。

まずは最初に、「カゲの頭って鳥が巣作ってそうだよな」と。

「……、今俺のこと馬鹿にしただろ」
「えっ正解。鳥の巣みてーな頭だなって思ってた」
「ほーう?」
「えっちょっとやだ、カゲくんったらトリガー構えちゃって怖い顔いでええ!」

トリガーは人を殴るためのものではないはずだ。
それを使って市民を守るのが役目じゃないのか。痛む頭をさすりながら、トリガーの埃をはらうようなしぐさをするカゲを睨む。

ちくしょう、この乱暴者。ボーダーに言いつけてやる。

そんなことを考えていたら、ぴく、とカゲが反応し、嘲笑しながら俺に言った。

「誰にチクろうが無駄だ。その前にみょうじをぶっ潰せばいいだけだしな」
「サイドエフェクトうぜえ! マジで不意打ち通じねえ!」
「5本勝負ならリーチだぜ? 景品はなんだろうなあ?」
「やべえ、俺自分の首しめてたのか」

景品とか何にも考えてない。
また前みたいに、焼肉奢れとかになると、財布が極寒の地になってしまう。
ならば体か。体なのか。

再びカゲが、顔をしかめた。

「おいコラきめーこと考えてんなよ。誰がお前のモヤシみてーな体なんか欲しがるか」
「えっ、でも先週末はそのモヤシを抱いいだああい!」

だからトリガーは人を殴るためのものじゃないと。
床に沈むと、カゲが鼻で笑った気配がした。

ていうか、誰がモヤシだ。手羽先くらいのボリュームはあるはずだ。カゲだって、同年代の村上や穂刈に比べたらかなり細いくせに。

そこまで考えて、はたと気づく。

おそるおそる顔をあげると、にやにやといやな笑みを浮かべたカゲが俺を見下ろしている。もしかして。

「細くて悪かったな。んで? 今ので4回目だな?」

やっぱりか。カウントされてしまうのか。

「いやっ、ちょ、ひ、卑怯だ! 俺『これからクイズ出しまーす☆』って宣言してないし! ノーカン!」
「ああ? 知るか、もともと言ったのはみょうじだろうが。景品決まってねーなら俺が勝手に決めるが、それでいいよな?」
「よくない! 全然よくない! つーかそもそもアレだよね! 一回でも勝てば俺の勝ちでいいよね!」
「あ?」

イラついたようなカゲの顔。
めちゃくちゃ怖いが、ここで引いたら男じゃない、気がする。
ひとまず、ここで考えたら全てカゲにバレるので、カゲを部屋に残し、最後の問題をトイレで考えることにした。

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