「やべーよ弾バカ、5教科合計でぴったり100点!」
「うわすげー! そんな点数で欠片もへこたれねー槍バカすげー! 三輪に言いつけよ」
「おいやめろ!」

今日も教室はにぎやかだ。
理由は単純、ボーダーの弾バカ槍バカコンビが騒いでいるから。

「なあ、お前いくつだった?」
「あー……はちじゅー」
「うっぜ。……うわもったいな、ケアレスミスばっか」
「それな」

俺と友人の会話のテンションはこんなもん。
まあテストが返ってきた反応なんて人それぞれだろうし、別にあのコンビのテンションがおかしいというわけじゃないけど。

あーにぎやかだな、と目が行く程度にはうるさい。

あの二人は見た目からして派手だし、漫画とかアニメなら、間違いなく主人公とかやってるタイプ。
出水はなんだっけ、何か知らないけど1位らしいし、米屋は暗い過去を持つ三輪を支えるっていう、それはそれで主人公っぽいポジ。

俺と友人は、よくてクラスメイトDとE。Aとかだとまだセリフあるし。ホラー映画とかで言うところの、叫び声あげて死んでるタイプ? いわゆるモブキャラ。

「うるさいぞ、何騒いでるんだ」
「あ、三輪。ほら見てみ、槍バカの成績」
「うわバカやめろ!」
「……陽介、お前、模擬戦禁止にしたのに……」
「ごめんて! その目やめてつらい!」

あ、もうひとり、主人公ポジが来た。

三輪秀次。なんかよく知らないけど暗い過去があるらしい。友人談。

まあつつかれたくない過去なんて誰にでもあるやな。俺も中学の頃はできるだけ闇に葬り去りたいな。主にノートとか。服とか。

「今日帰りどっか寄ってくか?」
「んーやめとく。金ない」
「貸すか?」
「金の貸し借りしない。貸すならあげるつもりで、借りるならもらうつもりで」
「おい最後」

先生が来て、友人は椅子を元に戻して前を向いた。
まだボーダーのトリオは騒いでいるようで、注意されてようやく席に着いた。俺注意とかされたことないや。高校になってからは。
テスト終わって、結果も返って来て。あーこれでまたいつも通り。


とかね、思ってたよね。
ポストに入ってた白いお手紙。玄関でぺりぺりと糊付けされた部分を破いたら、見覚えのある文字の羅列の下に、合格通知の文字。
あー、そんなこともあったっけって。

今になって思い出すくらいには、俺はそんなのどうでもよかった。

「俺ボーダー入るんだって」
「なんでそんな他人事なのお前」
「だっていきなし通知来たんだもん」

ボーダーに入りまーす。

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