泣いて震える肩


三輪は、お姉さんを近界民に殺されたらしい。

俺が会った時にはすでに近界民ヘイト値がマックスだったから、その人がどんな人だったかとか、その近界民がどんなヤツだったかとか、そういうことは全然聞けていないままだった。

本人が積極的に話したがらないのを無理に聞き出すのはルール違反だろうと思うし、今ではさほど気にもしていない。

気にはしていない、のだけど。



ふと目がさめた。
周囲はうっすらと明るくなっていたが、時計を見るとまだまだ起きるには早い。中途半端な時間だ。

トイレでも行ってこようかと体を半分起こしたところで、床に布団をしいて寝ている人物に目がいった。

「…………」

三輪が眠っている。
眠っているけど、固く閉じられた瞼からは涙が伝っていた。

かみしめられた唇からは時折うめき声が聞こえてきて、俺が起きた理由はこれかもな、とか適当にあたりをつけた。

あーあー、またきっと、お姉さん死んだ時の事夢に見てんだろーな。

そっとベッドを下りて、三輪の枕元に座る。伸ばした髪が、三輪の顔にかかった。
しばらく苦しそうな寝顔を見ていたが、かみしめすぎた唇が切れかけている。そろそろ起こさないと、米屋たちが心配するな。

起こす前に額にキスして、顔を離してから三輪を呼んだ。

「三輪」
「…………」
「みーわ」
「……ん……」

うっすらと、閉じられていた目が開く。
焦点があっていなかった目が、ようやく俺をとらえた。

「おはよ」
「……みょうじか……。……何時だ?」
「や、まだ5時前。けどなんか寂しかったから起こしてみた」
「…………」
「睨むなよ」


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