放課後の教室で


「すきだよ」


ああ、まただ。

「……おいそこの鳥頭。誰の課題手伝ってると思ってんの」
「いたっ!」

頬杖をついてこちらを見ていた佐鳥の頭をひっぱたく。
テレビ出演や雑誌の取材、通常の防衛任務で忙しい佐鳥。A級5位嵐山隊の敏腕スナイパー(自称)はやることが多い上に、あまりよろしくない頭が立ちはだかる。
同じ所属の時枝は地頭がいいのか努力しているのか、いかに遅れてもすぐに授業内容に追い付く。テストの点数だって平均点をゆうに超える。

だけど佐鳥は甘めに見ても辛めに見ても、「もう少し頑張りましょう」の域だ。
それでも提出物を出せば点数をくれるんだから、先生も温情ある措置と言おうか。

「でも提出物のまでできないって、さすがに予想できなかったんだけど」
「だって内容理解できないから点数悪いのにさ! まるっと範囲内じゃんコレ! 佐鳥の頭は限界です!」
「知るか勝手に破裂しろ。時枝に頼まれた俺の身にもなれ」
「か、感謝してるって! 神様仏さまみょうじ様!」
「後でなんか奢れよな。……ん、とりあえず解き易くしてやったから」

途中式と解説を交えたプリントを突きだしてやると、佐鳥は恐縮しながら受け取って再び数学と格闘し始めた。
鮮やかに近界民は仕留めるくせに、平均点しか取れない俺が解ける問題は解けないのだ。

「ねー、ちょっと」
「あ? 何? わかんないの?」
「いや、解けそう。じゃなくってさ、みょうじの返事もらってないんだけど?」
「そこの計算違うんだけど」
「えっマジで!? ……ぎゃああ足し算間違えてるし!」

慌てて消しゴムを探し出す佐鳥に、机のはじっこで心もとなさそうに佇んでいる消しゴムを渡してやる。
計算をやりなおす佐鳥に聞こえないように、小さくため息をついた。

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