校庭の真ん中で


危険区域だの放置区域だの、そんな呼び方で三門市は分かれている。

そのあたりに門を発生させる装置を取り付けて、来たら待ち構えていたボーダーが倒す、というのが防衛任務の一般的なスタイル。ゴキブリホイホイみたいですねと鬼怒田さんに思わず言ったら言い方を変えろと怒られた。
被害を絶つことができないのなら最小限に食い止める、という方式はなるほどと思うけれど。

「うわ、もったいない」

防衛任務の現地について、口をついて出たのはそんな言葉だった。
まだまだキレイな校舎、校庭には広いトラックと真新しい運動器具。水やりがされていないからか花壇の花は枯れてしまっている。名前が書かれたまま放置された植木鉢がいくつも見えた。

「こういうの、どうにかして運べないのかな」
「できるわけないでしょ。やってやる義理もないし、第一こんな安っぽいの誰も覚えてないよ」
「そうかな。小学校なら、結構覚えてたりするんじゃないの」
「小学生とか全力でキライ。うるさいし鬱陶しいし」

その後もぶつぶつ言うのは菊地原。
本来は風間隊だから、フリーの俺と組むことはあまりないのだが、今回は数が多そうということで助っ人に来てくれた。
ごねるかと思いきや、意外と稼ぎたいタイプらしくて、出来高を伸ばすためについてきてくれたらしい。足を引っ張るなと辛辣な言葉をいただいた。

校庭の真ん中に陣取り、いつ来るかと空を見上げていたら、やがていまだに慣れない黒い穴があいた。

「あー、来たな」
「さっさと終わらせるよ」
「うん」

菊地原はスコーピオンを、俺はアステロイドの銃を構えて、黒い門から這い出してきた近界民を見据えた。


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