※ただひたすらにくだらない
私の旦那さまは、学生時代王子さまとうたわれていた男の子だったりする。
「ねえなまえ、今日の夜ご飯はさんまがいいな」
『えー、私魚あんまり好きじゃないの知ってるじゃん』
「俺が魚好きなの知ってるじゃん」
『…分かった!じゃあ鮭かさば!』
「やだ、さんまが良い」
やだって、オイ。
『私だってやだ』
「…俺が人一倍健康に気を使ってるのは知ってるよね?」
『うう、卑怯だよ!』
そう、精市は人一倍健康に気を使ってる。それは昔の病気の経験だったり、今プロテニスプレーヤーとして活躍してるとこからくるものだろう。
それは勿論私だって知ってる。精市の食生活をちゃんと管理できるように、栄養士の資格だって取ったんだから。
私が魚苦手だから、魚以外で魚と同じ栄養が摂れるものを食事には出してるから、文句を言われるのは筋違いなんだけど、如何せん精市は学生時代から魚が好きなのだ。
「はあ、何がそんなに嫌なの?さんま今旬だし美味しいでしょ」
『…骨多いんだもん』
恥ずかしくてぼそりと呟く。
精市が魚を食べたいと言うのは精市のわがままだけど、私が魚を食べたくないと言うのも私のわがままだ。
「だと思ったよ」
『じゃ、じゃあ言わせないでよ!』
「なまえが恥ずかしがるのが見たかったんだから仕方ないでしょ」
『ーっもう!』
もういい、私だって精市に好きなもの食べてほしいって思う。仕方ないから今日はさんまにしよう。
――だからって!
『なんでこうなるの!』
「だってなまえが骨やだっていうからね」
『こっちの方が嫌だよ!』
「はいはい、文句いわないの。俺が折角ほぐしてあげてるんだから」
『頼んでない!』
「ほら、あーん」
『!』
な、にを言い出すんだ!
ででで出来るわけがないでしょう!
こんなの羞恥でしかない…!
絶対に口なんか開かないと心に決めた矢先、精市の最終兵器スマイル発動。
「ほらはやく」
昔から何故だかこの笑顔には逆らえない。仕方なく諦めて口を開いた。
『…あーん』
「ん、いい子」
あーんが無事成功すると、満足そうに笑う精市。確信犯と分かってて、結局やってしまう私って…
『…もうやだ』
恥ずかしすぎて死にそう。
まさか大人になってまでこんな事やるとは
…だけど、いつも忙しくて疲れてる精市が楽しそうだし、たまには悪くないかな。
*
晩ごはんがさんまで、
骨が嫌だと言ったらお母さんに怒られました。
頑張って食べたけど(味はおいしい)
ゆっきーがほぐしてくれたら!と思って勢いで書きました。
ごめんなさい
反省はしてないです←
120903 悠