二人でてくてくと廊下を歩くけど、いつも私が行くのとは違う道。不思議に思って幸村くんの方を見た。


『ねえ、いつもこの道なの?』

「違うよ。ただここはこの時間帯ほとんど人通りがないからね」


幸村くんでも人通りとか気にするんだ。なんか凄い意外。幸村くんってゴーイングマイウェイって感じするのに。


「成瀬さん今失礼なこと考えてるでしょ」

『え!?か、考えてないよ!ただなんで人通り少ないとこ通るのかなって』


幸村くんエスパー!?怖い、怖いよ幸村くん。


「ああ、だって成瀬さん困ると思って」

『え?』

「ふふ、意外だった?」


まあ俺としては見せびらかしたいんだけど、と恐ろしい事を言い出す。お願いだから止めてください。



「嫌味に聞こえたら嫌だけど、まあ俺も鈍感じゃないからね。俺と女子が一緒にいると騒ぎになるって事は、中学の時に嫌ってほど思い知らされたから」

『うわ、凄い想像できる』

「でしょ?しかもその相手が美紗緒だから勘違いも甚だしいよね」

『あはは!そこ美紗緒なんだ』


幸村くんが本気で嫌そうな顔をするから思わず笑ってしまった。ていうか幸村くんと話すの凄い面白い。発見。



「今は俺のワガママで繋いでるし、成瀬さんを困らせたい訳じゃないから」


そう言ったと思ったら、するりと手が離れた。あ、と思わず言ってしまいそうになって、慌てて口をつぐむ。


「残念だけどもう教室につくから、ね」


その言葉に辺りを見回すと、確かに3‐Bの教室が見えていた。


「じゃあ、またね」

『うん、わざわざありがとう』


私がそう告げると目をぱちぱちさせた。え?私変なこと言った?



『どうかした?』

「…え、あ!いや、お礼言われるとは思わなかったから」

『?だってわざわざ教室まで送ってくれたし、幸村くんと話すの楽しかったし』

「そ、う…えっとじゃあ!」



…やっぱり幸村くん変だ。ダッシュで教室に行ってしまった。まあとりあえず私も教室に入るといつものメンバーが揃っていた。



『おはよー』

「あ!悠里おはよ!」


ねえねえ聞いてよー!と駆けてくるのは私の友人の美紗緒。幸村くんの幼なじみでもある。


『いや、私も聞きたいんだけど』

「え!先私でしょ!」

『だって美紗緒、柳くんの事ばっかじゃん』

「…悠里エスパー!?」


因みに柳くんの彼女だったりする。
正直な所、真逆の二人がなんで付き合ったのかは謎なんだけど。



「分かんねえとか逆に凄いだろぃ。なあ仁王?」

「プリッ」


この赤いのと白いのも私の友人。二人とも立海では有名人だったりするから不思議。

「まじか!あ、てか悠里の話って?」


因みに美紗緒は本物のゴーイングマイウェイだ。突然会話が飛ぶことにも慣れてしまった。……慣れって怖い。



『いやさ、話ってほどでもないんだけど。幸村くんってどんな人?』



「「「………は?」」」



そんなに口を揃えなくてもいいと思う





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