You are my special friend.
白石が去ってしまった路地裏に1人でいる理由も無いから、とりあえず立ち上がる。
ていうか、私の事忘れられないとか言うんだったら、何でこんな路地裏に1人置いてくの。危ないとか思わないの。
…って、何考えてんだ私。
気付いてから頭を左右に振った。
嫌いなんだしそんなの気にすることじゃない。むしろ願ったり叶ったり。
そう自分に告げて、店に向かった。
*
「あ、おかえりー!白石だけ帰ってくるからびっくりしたよ」
大丈夫だった?と声をかけてくれた友人達に、笑顔で大丈夫と告げる。
「てか白石回復早くない?」
…嫌な所に気付くなー。
とりあえず誤魔化した方がいいよね。
『あー、ほらあれじゃない?完璧だし!』
「うわ、なんか凄い納得」
「分かる分かる」
「白石って凄いよねー、あ、てかさ!」
……女の子は会話のテンポが速いと思う。ボーッとしてたら直ぐに置いてかれそう。やっぱり女子は強い。
*
「それでは!一次会は終わりということで!二次会組はカラオケに行きます!」
高々と上がる委員長の声で、同窓会一次会はお開きになった。
「なあ真琴、自分は二次会行くんか?」
『謙也…』
二次会かあ…。
二次会はいいかな別に。
『んー、行かない!』
「はは、やと思ったわ!」
「あはは、さすが謙也だね」
わかってるねーと少しちゃかし気味に言ったのに、謙也からは何の反応もない。
『…いきなり黙ってどしたの?』
「…二次会行かんねんな?」
『うん』
「じゃあ…ちょっと俺に付きおうてくれへん?」
意外すぎた言葉に目をぱちぱちさせる。
あれ、謙也二次会行かないの?こういうイベント好きじゃなかったっけ?
『私はいいけど…謙也いいの?』
「何が?」
何がって…。
アレ、目でわいわい騒いでる二次会組の方を見た。
あ、白石二次会行くんだ。なんか意外。
「…ああ、ええよ別に」
『あれ?でも謙也わいわいしたの好きでしょ?』
「まあ、でももともと今日はお前と話したいって思ってたから」
私と話したい?
謙也がそんなこと言うなんて本当に珍しい。何か悩みがあるのか、と心配になるくらいには珍しい。
『良くわかんないけど、謙也がいいなら行こっか』
「ん、いきなりすまんな」
『いいよ気にしなくて。気持ち悪い』
「な!…お前なあ!」
ばしんと頭を叩かれた。
鈍い痛みが走って、地味に痛い。
『ぼうりょ、…セクハラ反対』
「何で言い直した!?何で今言い直したん!?」
『うるさい』
さっきとは代わってぎゃーぎゃー騒ぎだした謙也に少なからずほっとした。
やっぱり謙也はこうでなくちゃ。
prev next
text(7/5) chapter(7/5)