馬鹿達と病院

俺達は三人で手を繋いで病院に行った。
入った瞬間病院独特の薬の匂いがした。
「じゃあ私、受付行ってくるね。」
「ああ、ナナシ任せたぞ。」
「うん!!」
そう言ってナナシは繋いでいた手を離した。


....何か名残惜しいな。
手にあった温もりが無くなって残念だ。
残念?....残念など思ってないただ少し寂しいとか思ってないとか思ってない。
「リュゲル兄?」
「ん....なんだガンダレス。」
小声でガンダレスが喋りかけてきた。
「さっきナナシと手繋げたね。」
無邪気に笑いかける弟。
「ああ。」
俺はさっきナナシと手を繋いでいた手を見た。
なんでだろうな....すごく嬉しかった。
「リュゲル兄俺応援してるからな!!」
「そ、それ以上何も言うな。」
何を応援されるのだろうか....?
身に覚えが無いぞ。


「リュゲル!!予約してきたよー」
「そうか、ありがとうナナシ。」
「どういたしまして。」
彼女は俺の横に座った。
何故ナナシは俺の横に....。
「何かドキドキするぞ....」
「大丈夫!?また手繋ぐ?」
「へっ!!な、な何を言ってるんだ!!
俺が手を繋ぎたいとでもい、言ったのか!!」
しまった!!声が裏返った!!
あああああどうしようそして何を言ってるんだ俺!!
「うーん....さっき手....繋いだでしょ?
そしたら急に懐かしくなっちゃって....そのダメかな?」
眉をシュンとおろしながら首を傾げながらナナシは言った。
そんな顔するな....!!
「べべ別に、そこまで言うなら繋いでやってもいいぞ」
「本当?やった!!ありがとうリュゲル!!」
手を出すナナシ。
ナナシの方をチラッと見ると嬉しそうに笑っていて、
恥ずかしくなった。
俺はナナシの手と手を重ねた。


温かいな....昔より小さく感じるナナシの手....。
俺はこの手が好きだ。
昔はよく三人でよく遊んでいた。
ナナシは俺達が怪我をした時頭を撫でてくれた。
ガンダレスが泣いて俺も一緒に泣いたとき、
手を繋いで三人で帰ったりもした。
俺はナナシの手をキュッと握る。
そんな俺達を引っ張ってくれた手が好きだ。
....好きだ。好きだと....!!
いや、俺はナナシの手が好きであってナナシが好きなわけでは無い....わけじゃないが....。
俺はナナシのことが好きなのか?
ふと今までのことを思い出してみる。
ナナシを見てドキドキしたりモヤモヤしたりほわほわしたり....これが恋というやつなのか?
まだ断言できないな....よくわからない....。
いや、俺にわからないことなどない!!



「リュゲル・バランさん。」
「!!....はい。」
俺はナナシと手を繋いだまま診察室に向かった。
看護師達から何か生暖かい視線を感じる....。


「どうぞ。」
「失礼します。」
そこに白い白衣を着た男がいた。
「今日はどうしました?」
「はい、最近胸が痛くなるんです。
でも、彼女と手を繋いでいたら痛くないです。」
そう言うと白衣を着た男は驚いたように、
「これは....そうだな....1回そこの女の子は退出してもらってもいいかい?悪いようにはしないから。」
仕方ないので、名無しと手を繋いでいた手を離し後でと約束した。
「さて....リュゲル君?唐突だけど君は恋というものを知っているかい?」
「はい、れんあい....というものですよね?」
「そうさ、じゃあ君は恋をしたことがあるかい?」
「....?ないと思いますけど。」
「もう一つ質問、君は誰か好きと思ったことがあるかい?」
好きと思った....。
さっき俺はナナシのことを好きと思った。
いや、ナナシの手が好きなんだ。
でもナナシのこと嫌いじゃない........好きだ。
「俺は....ナナシのことが好きなのか....。」
そう呟いた瞬間胸の中で何かが弾けた。
心なしか軽くなった気がする。
そうか、俺はナナシのことが好きなのか。
「リュゲル君最後に1つ、君は今好きな子はいるかい?」
俺は迷わず答えた。
「はい!!」

俺は男に「ありがとうございました」といい診察室を後にした。
外で待っていた二人は俺を見つけ、
「どうだった?」と聞いてくる二人に俺は
「心配いらないそうだ」と答えた。
「....リュゲルなんか嬉しそうだね。」
「ああ、もう胸は痛くないぞ俺はすごいからな!!」
「すごいよ流石リュゲル兄!!」
誇らしげに笑うと彼女も笑いかえしてくれた。
そんな笑顔に俺の胸がキューッとなった。
痛くないと言ったがやっぱり少し痛いな....と胸に手をあてていると、
「リュゲルー!!」
夕焼けを背景にナナシは自分の手を出し、
「一緒に帰ろう!!」
俺はナナシの手とガンダレスの手をとって走って帰った。


俺はナナシのことが好きだ!!



ガンダレスはリュゲル兄が主人公ちゃんのことを好きなの知ってます。
ただ、本人は気づいてなかったやつ。




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