リベアム | ナノ
R)ご挨拶に参りました。



リヤンのご挨拶

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「ここ、でしょうか…」
とある昼下がり。
リベルタの子綺麗な街の中で大きな赤い馬を連れた一人の若者がぽつりと呟いた。
一見女性と見間違うほど小柄な彼は、とある屋敷を見上げながらゆっくり手元の住所を確認すると、今にも飛びたしそうになっている馬の頬を軽く撫でてやりながら温和な笑みを浮かべて眉を下げる。
「レディ、兄様はここにいるみたいです。だけど暴れちゃダメですよ?」
中性的な細さの声で馬に呟くと、門の外に馬を繋いでから門の内側へゆっくりと入って行った。

「ごめんください。」
立派な屋敷の扉の前に立つと、ゆっくりとそこに取り付けられたノッカーを2回叩く。間も無く、扉は開かれ、中から大きな背格好の執事が現れた。
「はいはーい!どなたさ…あれ、リヤン?」
「兄様!お久しぶりです。」
青年は自身とよく似た垂れ気味の目元をした兄を見上げると、深々と彼に頭を下げた。すると、外で待たせていた馬が、ガツンガツンと地を蹴る音が響く。
「…とりあえず、レディがお待ちですよ。」
「うーん?何であいつあんな怒ってんの??」
「兄様が全然帰らないから拗ねているんですよ…と」
これは本気の体当たりの1、2発は食らうだろうかと兄弟で苦笑していると、屋敷の中からもう一人、姿を表した。
「シャン、お客様ですか…?」
スラリとしてきちんと燕尾服を身に纏った執事。小柄な青年は彼を見上げると軽く目を丸くして、すぐに柔らかく微笑み、ゆっくりとお辞儀をして呟いた。
「こんにちは。何時も兄が御世話になっております。」

二人の執事の案内の元、応接室に辿り着き、暫く一人で待っていると、さほど時間もかからずに屋敷の主と執事二人が応接室に現れた。
小柄な青年はすぐさま立ち上がると、手を臍の高さで合わせて添え、深々と頭を下げて口を開いた。
「お初に御目にかかります、クリオール子爵様、並びにお使えの方。シャン・ドゥ・ギャルドの弟、リヤン・ドゥ・ギャルドと申します。
兄がいつもお世話になっております。突然の来訪、申し訳ありません。」
挨拶をゆっくり、聞きやすくはっきりと言い切ると、つまらないものですがと言いながら子綺麗な菓子箱とワインボトルを差し出した。
「………あ、の?」
差し出して間をおいても受け取られないそれに、何か失礼をしただろうかとリヤンが不安げに顔をあげると、目の前の家主とその主に仕える執事が目を丸くしている。うかがいみる体勢のまま彼は不思議そうに小首を傾げた。
「…ガロット、お前の血族か…?」
「いえ…彼はギャルドと…」
主従はこそりと確認を取ると、二人の後ろに控えていたもう一人の執事をちらりと見た。
「俺の自慢の弟です!」
「兄様!己が主様と御指導頂いている方の前で『俺』とは何ですか!」
ドヤ顔で胸を張って答えた兄をキッと見上げながら思わず弟が声をあげる。
「それにその御姿!お髭!腕まくり!上着に泥までっ」
「泥はレディの所為だぞ?思い切りタックルされた…」
「構ってあげなかったからです。自業自得でしょう!口答えしない!!」
「リヤン元気そうだな!」
「人の話を聞いてください!」
憤慨する弟の頭を兄は気楽にぽんぽんと撫でる。頭に乗せられた無骨な手を両手でぺいっと投げながら弟はハッと我に返った。
「……お見苦しい所を申し訳ございません!!」
「あ、リヤン、このワインとチョコレート持って来たのか。よし!良い子!」
わずかに青ざめて頭を下げる弟を横に兄は包みをみて満足げににんまりと笑っている。

「なんとゆうか…両極端な兄弟だな。」
「…シャンより弟君の方が良いのでは?」

先輩執事の冷静な一言に「クビは嫌です!」と、新米執事の叫び声が響いた。




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騒がしい兄弟です。

ベルホルトさん
ガロットさん
お借りいたしました!!



みそ.






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