04 | ナノ





放課後のレベル5の皆さんと言えば、生徒会室と称された馬鹿でかいスイートルームで何をするでもなく暇潰しがお決まりである。何せ社交性やらコミュニケーション能力が0どころかマイナスに等しい彼らのこと。友人と飲み会、ショッピング、サークルその他諸々の大学生らしい予定は一切ない。

(いっつも一人足りないし)

あの例の第七位だ。御坂は一度も彼と会話したことがない。故に苦手意識を抱いていた。

「あーそろそろ来るんじゃねえ?」
「?」

垣根の言葉に首を傾げた。そのとき、

「聞け、お前ら!この秋も深まる今日この頃!何があるか知ってるか!?そう、言わずと知れた学祭だ!!学祭と言えば体育祭!今年も全力投球、完全燃焼だああああ!!!目指せ優勝!俺達はスポーツマンシップに乗っ取り――」

何故か選手宣誓までし始めた削板に御坂始めレベル5の皆は何だこいつは、とまず耳を塞いだ。テンションが高すぎる、声が大きすぎる。ましてや体育祭ときたら、しち面倒臭い行事は遠慮します、がセオリーの彼らにとっては避けたい一種の災害みたいなものである。

「あーうるさいうるさい。あんた勝手にやってろよ」
「何だと!?聞き捨てならねえぞ四位!」
「何でよ。レベル5に決定権がある。だからソレに関してはあんたに全部権限委譲、それでいいだろ?第一位」
「あァ。ここに書類あっから勝手に捺印してけ」

一方通行は足で引き出しを開けると、一枚の紙を取り出して、それ一つで学園全てを牛耳ることのできる印を放り投げた。よくこんな適当な集団で大学が成り立っていると思うのだが、事実成り立ってしまっているのである。どこでも上の機関とはこんなものなのだ。御坂は呆れ果てて閉口した。

「それは駄目だ」
「はァ?テメェ七位の分際で口出しするつもりなンですかァ?」
「いやそうじゃない。勿論、俺一人で充分なんだが、役員は男女二人らしい」
「……つまり?」
「俺以外に誰か女の役員が必要だということだ」

何やら面倒な展開になりそうである。御坂はカウンターテーブルに突いていた肘を剥がして、そちらに向き直る。

「却下」
「私もぉー。その日はキャサリンちゃんとでぇとなのよねぇ」
「じゃあ私も、」
「よーし決定だ第九位!」
「九位じゃない!!私は三位よバカ!!大体キャサリンちゃんだか何だか知らないやつとデートする食蜂にしなさいよ!」
「まあ聞け、第三位。あいつはなー、」

削板が言うには去年彼女に任せたところ生徒全員の心理に干渉し、まるで運動場が彼女の一人チェス盤の如き惨事になったらしい。末恐ろしい女である。ちなみに今、彼女は携帯をぽちぽちと弄りながら「また引っかかったわぁ!」と意味深な言葉を吐いている。

「ということで行くぞ!」
「ええええええええ!?ちょっ、待っ、」
「おい削板」
「垣根……」

この時ほど垣根をかっこいいと思ったことはなかった御坂だったが。
「頑張れよ」
「ああ!」
「ゴラァァァァァァ!!期待させて落とすなメルヘン野郎!」
「大丈夫だ!お前ならやれる!」
「何が!?ねえ何が大丈夫なの!?あんたの頭からするとすっごい不安なんですけど!ねえ!」

とは言っても、体育会系の男子に能力無しで勝てる筈もなく。御坂はずりずりと襟首を掴まれて引き摺られるしかなかった。



miss order




---------------------
111023
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -