藍子さんより | ナノ










どうしようもなく好きだった。
まるで御坂さんを見つけるのが自分の能力かと思うほど、気づけば目で追っている。見ているだけでいい、なんて言ったら本当にストーカーになりかねないけれど。
彼女の事を本当に愛していた。同時にそれは不毛な想いだと、痛いほどわかっていた。
だから御坂さんに迷惑をかけないようにしていたのに。それなのに。気づいた時には遅かった。
男の名前は一方通行。学園都市の有名人だ。どうしてそんな奴が、なんて考えるまでもない。きっとそういう事なんだろう。
自分にはそれを邪魔する権利なんてない。それが不甲斐なくて仕方なかった。彼女の幸せを優先しているから、なんて。こんなのは綺麗事だ。彼女の幸せを願うフリをして、拒絶される恐怖から逃げただけ。気づいてしまった自分は、もう、

「あ、一方通行」
「そンなに物欲しそうな顔して。ダメだなァ」
「っここまでして…いじわる…」
「わかってるよ」
「はぁっ、なんか今日のアンタ素直すぎて、っこわ、い」
「失礼な事言ってンじゃねェよ。虐めねェのは今日だけだ。…今日、だけ」
「んっ」

こんな汚いやり方しかできないなんて。自分を殺したくなる。彼女への愛は本当なのに、愛し方を間違えてしまったんだ。
罪悪感で早く立ち去ってしまいたい。その反対で、今が永遠に続けばいいと願う自分がいる。こんな事をしたって御坂さんを手に入れられるわけじゃない。わかっているのに。悔しくて。
ねぇ御坂さん。今、貴方を抱いているのが、愛しの一方通行じゃなくて、その仮面で化けた男だと知ったらどうしますか?それは半ば自暴自棄だった。彼女にそれをぶつける事は最低なのに。ごめんね。こんな事二度としない。忘れるために、想いを刻むためだから。本当はここまでの行為望んでなかったけど、もう後には退けない。ただ彼女が欲するままに幸せをあげるだけ。もっと、と言われたらもっとあげるよ。
それなのに、彼女がどれだけ愛らしく乱れても、その口から漏れるのは最後まで"一方通行"だけだったなんて。ああ、本当に何も叶わなかった。
自分の瞳からこぼれ落ちそうな涙を誤魔化すために、激しく激しく突いてやった。



愛の言葉なんて
うんざりさ
(乾いた恋心と。さよなら。)






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