疑似セックス

※御坂さんが病んでます。ぬるくグロい







――ズドン。
鈍い衝撃が脇腹に走り、一方通行は低く呻いた。さらに銃創には、銃口がずぶずぶと呑み込まれていく。内臓から迫り上がってきた血液に激しく咳き込んだ。

「テ、メェ……」

鏡の中の御坂に鋭い眼光を向けた。しかし彼女は全く動じることなく、女神のように柔らかく微笑んだ。


一方通行は空が血色に染まる頃、負傷して帰って来た。「妹達」を実験に使わせろだのと叫んでいたこと、大能力者だったことは記憶している。例の如く、御坂には何も言わなかった。打ち止めに飛びつかれて階段から落ちたと嘘を吐いた。余計な心配をかけさせたくなかったのだ。
ところが。

くすくす、と口元を歪めて笑う少女。と、その小さな手に収まっている鈍く、黒く光る小型銃。鏡の中は間違いだらけの世界だった。

「私ね、アンタが誰かの為に傷付くの、嫌なの」
「……ナニがしてェンだ、オマエは。俺を精神的にイかせてェのか」
「ふふ、それもいいかもね」

ジーンズのジッパーに掛かる少女の指先を留めながら、彼は鏡だけを見て、静かな声を聞く。

「好きな人に他人の痕が付いてたら、嫌だと思わない?それが憎くて、でも好きで苦しくて、おかしくなっちゃった」

もし、と仮説を立てる。例えば、あの無能力者の為に御坂が傷付いたとしたら。
間違いなく同じことをしていただろうと彼は思う。躊躇いなく能力を解放して、この柔い肉に指を突き立てて血脈に触れて安堵した筈だと。

「アンタの全部、私のものにしたいのよ」

――そして、引き金は引かれた。



「ねぇ、気持ちいい?」
「はァ?オイオイ、俺の神経の前にテメェの神経がイってるみてェだなァ。痛ェに決まってンだろォが」
「だってさ、はあはあって息荒くして身体熱くて汗までかいちゃって。あは、かわいい」
「バ、カ言ってンじゃ、」

ふと記憶が戻っていく。
見覚えのある歪曲した笑顔と、「誰か」の肉体、に凶器を愉しそうに突っ込む自分。何万と脳に染み付いて消えない記憶の中の一つに今が重なる。そう認識したとき、胃がひっくり返るような気分の悪さを覚えて口元を覆った。

「あれえ?どうしたの?まさか他の女の子のこと考えて興奮しちゃったとか?」
「はっ…ちげェっつの、このド変態」
「そ?ならいいけど」

また、ずぶりと深く沈む。今までの出血と激痛で一方通行の視界は霞んできた。
しかし迷子のような小さな御坂の声が彼を引き戻す。

「…ねえ、私だけだよね?アンタにこんな顔させられるの。私は、すぐ嫉妬して、アンタ、じゃなきゃ、こんなこと、誰も許してくれな…のに、」

白かった筈の床に銃が落ちて、代わりに御坂の細い腕が少年の身体をゆるく包んだ。はあ、と一方通行は溜め息を吐いた。
結局のところ、この少女は優しいのだ。嘘でも誰かを殺して悦ぶような人間にはなれない。

「バァカ、当然だろォが。テメェみたいな変態扱えンのも、第一位の俺でなきゃできねェよ」
「ほ、んと、に?」
「あァ」
「まだ、いて、くれるの?」
「だから、そォだっつってンだろ」

銃創は後で血流操作をすれば塞がるだろう。その前に今にも泣き出しそうな少女を抱き締める。彼女自慢の制服を血で汚すのは痛み分けだ。

「ありがと、一方通行」

御坂は、誰より細い少年の腕の中で微笑んだ。



end.
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110521

ヤンデレールガンも好き。
電磁通行は傷抉り合っていちゃいちゃぐちゃぐちゃしてるといいよ(^p^)


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