dolls house
『御坂様!ごきげんよう』
『ああ、おはよう』

『御坂さん、おはようございます』
『はよー』

『お姉様、こんにちは』
『こんにちは』


この人は行き交う人の多くから羨望と好意と、少しの想いを向けられる。本当に大勢の人から。そして、その人、全てに太陽のように明るい笑顔で言葉を返す。それが眩しくて、そうする度にお姉様はそんな美しい人じゃないと叫んで、その優しさの詰まった心臓にナイフを突き立てたくなってしまう。
お姉様はミサカたちを産んだ『お姉様』なんだから。ミサカたち『妹達』だけの姉なんだから。

「御坂様!私たち、本年度入学した新入生なんです」
「あ、そうなの?規則厳しくて大変でしょ?ここ」
「いえ、御坂様に憧れて常盤台に入学したんです!だから本当に嬉しくて…」
「やだ、大袈裟よ!ほら…ハンカチで涙拭いて」
「ありがとうございます!」

お姉様はいつも沢山の人間に囲まれている。あの女の人達は、お姉様に恋をしているみたいだった。確かにインストールされている情報を合わせれば、おかしいことじゃない。

(それでもミサカ以外にお姉様が取られるのはやだもん)

このミサカは他の妹達よりずっと欲が強いみたいだ。お姉様も、あの人も、ミサカのものじゃなきゃだめ。

「あら?御坂様の妹様でいらして?」
「あ、ああ…そうよ」
「まあ、御坂様に似てらして可愛いらしいですわ。こんな素晴らしいお姉様で妹様も喜ばしいことでしょう。ねぇ?」

にこりと笑いかけてくるお姉様の後輩さんたち。
どうしてあなた達の方がお姉様を知っているかのように話すの?ミサカはあなた達よりずっとお姉様を知ってるんだから。ミサカは子どもだからお姉様が相手にしない。それで優越感を抱いてるのだとしたらかわいそうだ。

だってお姉様はミサカの言葉ひとつでミサカのものになるんだよ。「ずっとミサカのそばにいてね」って言えば、学校にも行かずにミサカの為だけにいてくれる。誰にでも救いを差し出す手はミサカの髪を撫でてくれる為だけにあるようになる。

ミサカは怖い。きっとお姉様もあの人も人間だから、いつかは罪もミサカ達のことも忘れてしまう。そんなのやだ。ずっと忘れないでミサカのことだけ考えてくれればいいの。
ミサカはお姉様とあの人と遊べたら何もいらない。

「ん?どうしたの?」

ミサカが腰に抱き付くとお姉様は首を傾げて笑った。そう、こうやってミサカにだけ優しくしてくれるお姉様が好きなの。

「お姉様はミサカのこと好きだよね?ってミサカはミサカは尋ねてみる」
「え?それはもちろん、」
「一番だよね?お姉様はミサカ以外好きになっちゃだめなんだよ。お姉様はミサカだけのお姉様だもん」
「……打ち止め」
「ね、お姉様」

泣きそうな顔をしたお姉様も好きだよ。
だって、その顔はミサカのことを考えてくれてる顔だから。笑顔しか見せないお姉様以外を知っているのはミサカなの。

「大好きだよってミサカはミサカは告白してみる」








dools house

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120106

電磁止めで打ち止め攻め!というよりヤンデレになってしまって申し訳ないです。完全に管理人の好みです!打ち止めちゃんは美琴さんと一方さんの二人をお人形さんに見立てて遊んでるように恋心を抱いているとかわいいなあ、という悪趣味ですね!
リクエストありがとうございました!



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