◎電磁通行+超電磁砲組


ごろごろと喉を鳴らすそれに一方通行は恐る恐る手を伸ばした。普段は壊してしまいそうで怖くてなかなか触れられない。
触れたのは明るい茶色の毛で猫の毛のようにふわふわと柔らかかった。

(本当に猫みてェだな)

髪から指を滑らせて、するりと喉を擽れば彼の手に擦り寄る。『実験』中は例外として、もともと庇護欲の強い彼にとって甘えることほど影響力があるものはない。これまた猫そっくりのアーモンド型の瞳が悪戯っぽく笑うと、だんだんと我を忘れてその指先は――。

「水を差すようですが一方通行様、どんっっっなに可愛くてもお持ち帰りは不可、でございますのよ」

高飛車な物言いの少女が軽蔑と敵意を表して仁王立ちしていた。白井黒子。一方通行が撫でている御坂美琴のルームメイトである。その傍らの少女二人は御坂の友人らしい。

「お姉様がこうなってしまわれたのも貴方に責があるのですわよ?頭が良いと存じておりますが、分かっておいででしょうね」
「あァ」
「なら良いのですけれど。保護者としてもっとしっかりしていただきたいものですわ。お姉様のそのような可愛い…いえ、醜態は我が常盤台中学の恥ですの」
「まあいいじゃないですか白井さん」
「そうですよ、こうして一方通行さんもわざわざ来てくれてることだし」
「甘いんですの!こんな超絶キュートなお姉様を見た殿方が発情して盛りでもしたら――」

以下、初春という少女が標的になってくれたようなので一方通行は一息ついた。打ち止めや番外個体でこの類の喧しさには慣れているとは思ったが、まだまだのようだ。

「よく馴れてますね、御坂さん。私たちの時は触らさせてくれなかったんですよ」
「それが俺を呼ンだ理由か」
「はい。ネコって同性に対しての縄張り意識強いじゃないですか。だから大変で大変で。白井さんはあんなですし。御坂さんのケータイ覗いたら男の人って上条さんと一方通行さんしかいなくて」

確かに状況が分からない今、『幻想殺し』を呼ぶのはリスクが高すぎる。それにもし上条が呼ばれたと仮定して御坂が同じような態度を取っていたら、それはまた何か嫌な感じがした。

「そこの変態風紀委員と花女も同じか」
「変態は余計ですわ。お察しの通り私にも懐きませんで。今朝も電撃を頂戴いたしました」
「……あァそォ」
「きーっ!悔しいですわ!こんなに黒子はお姉様を愛しておりますのに!!なぜ一方通行様にはそれほどまでに懐いておりますの!?」
「さァ…何故でしょォねェ」

随分絆されたものだと思う。女子中学生に呼び出されて二つ返事で女子寮まで来て、こんな騒ぎに巻き込まれているのだから。そんな少年の複雑な思いを知る由もなく、御坂は「にゃあ」と満足そうに鳴いた。




end.





▽打ち止めからもらったお菓子に偶然入っていたお酒に悪酔いしてネコ化した御坂さんのお話。








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -