突然手首を捕まれ勢いよく押し倒してきたと思えば、この男はこれだ。

「キスさせて」

「本日の営業は終了しましたァ世界の夜明けまでお待ち下さいねェクソ野郎」

「下らねぇな。だいたい俺に常識が」

「顔寄せンな唾吐いてやろォか」

わりかしマジ顔で言うと、落胆したり眉間に皺を作ったりしてからため息ひとつ、呆れた表情で落ち着いたようだ。

「はぁ、萎えた。何なのお前」

「何はオマエだろォが。一々コッチに許可取るようなやつじゃねェくせに」

「いきなりかますと黒翼出そうとする馬鹿はどこのどいつだろうなアクセラちゃん」

「うぜェ」

「はー‥‥ほんとムードとか台無しなー第一位は。萎えた。でもしてぇな、目の前に餌があることだし」

オイ萎えたンじゃねェのかよ、と突っ込みを入れる前に垣根の頭の位置が自分の視界から下方向へフェードアウトした。間を入れず感じた首の生暖かい感触にぞわりとする。

「つーワケでキスマーク付けさせてもらうぜ?」

「……ッ、」

「はは、流石に前のは消えてっか。つーかほんと白ぇ」

「…いっ、………オマエ吸い付きすぎなンだよクソ掃除機」

「吸引力が変わらないただ一つの帝督だ――ってマジやめろその家電シリーズ」
「やっぱり冷蔵庫…いやていとうこが一番……ゥンン゛?!」

「てめぇは言ってはいけないことを言った。覚悟しろ腰砕きコースだ」



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Title / 明媚

一方さんそれは禁句!

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