会社から着信が着ていたのはほんの数分前。
鞄に入れっぱなしになっていたせいで不在着信を知らせるランプがチカチカと惨めに光っていた。


ドフラミンゴのことがあったから嫌な予感がしていたが、その予感はどうやら的中してしまったらしい。



勤務時間が終わり、会社に立ち寄ったら解雇通知を渡された。
理由は勤務時間中にいきなり連絡が取れなくなり、職務上会社に不利益になる行動をした為。らしい。
本来なら猶予が設けられるのだが、2ヶ月分の給与を払うから即時辞めてくれとのお達しが出たのだ。

ローのところに入り込めと言っていた上司は気まずそうに名無しから目を反らし、それ以上はなにも言わなかった。
だから名無しも言い返さなかった。

こうなることは何となくだがわかっていたし、会社だって超大手であるジョーカーから睨まれたら仕事が回ってこなくなる可能性だってある。

解雇通知を握りしめたまま会社を出ると、神妙な面持ちでナミが立っていた。
眉間にシワを寄せているが、どこかしら悲しそうな顔にも見える。


「…何やってんのよ!」

「ごめん」

「バカじゃないの」

「うん」


切り捨てるように言い切ったナミはなにがあったのか全てわかっているようで、オーバーにため息を吐いてオレンジの綺麗な前髪をぐしゃっと掴んだ。


「勿論行くわよね、呑みに」


黙り込んだ名無しを見るに見かねたのか、ナミが再度ため息を吐いて名無しの肩をバシバシと景気良く叩いた。
ナミは入社当時から営業のいろはを教えてくれた先輩で、失敗するとこうやっていつも肩を叩いてくれた。大丈夫よ、と笑いながら。

肩から伝わってくる痛さはいつも優しさ混じりで、名無しは軽く笑って頷いた。


「今日はとことん呑みますよ!」


鼻の奥に感じる痛みを啜りながら解雇通知を鞄に押し込む。


「……本当に馬鹿ねアンタは」


ナミがまた小さく呟いた。
どうやら一雨きそうだ。











鳥からの手紙


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