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お頭のために命を賭けられられるかと聞かれたら、答えは迷わず即答でイエス。

シャンクスのために命を賭けられられるかと聞かれたら、答えは迷わず即答でノー。




「名無し、何処行ってたんだ?俺はもう心配で心配で…」


「ベン、ただいまー!例の船のことだけど…」


「名無し、お頭をスルーして俺のところに来るな」



へらりと笑って名無しを出迎えたシャンクスを何も見ていないかのようにスルーして当然の様にベックマンの方に向かった名無しに、ベックマンがため息を吐く。



「え?お頭?お頭がいた?全く気がつかなかった」


「居るだろ、お前のすぐ真後ろに」


ベックマンが名無しの真後ろを指差して、くるりと振り返る。
するとシャンクスがへらへらと笑って手を振っていた。


数秒名無しは真後ろを見つめてベックマンの方へ向き直って、軽く首を振る。



「お頭いなかったよ、変なコスプレ野郎はいたけど」


「おい名無し、名無しの大好きなお頭はここに…へぶっ!!」


真顔で首を左右に揺らす名無しに後ろからシャンクスが抱き締めようと両手を広げた瞬間、名無しの右アッパーがシャンクスの顎にクリティカルヒットした。



「お頭は、いなかったよ」


「そうか。俺の勘違いだったな。報告を頼む」


「了解」



何事も無かったかのように偵察の報告をする名無しとそれを真面目に聞くベックマン。
そしてそれを半泣きで見つめるのがシャンクス。




いつものことながら、クルー達はそれを呆れた目で見る以外の術を知らない。



しかし今日のシャンクスは一味違った。
軽く咳払いをして、立ち上がったシャンクスはこめかみ辺りを指で軽く揉んだり眉間を揉んだりしながら名無しに近付いていく。




「名無し、偵察に行かせて悪かったな。首尾はどうだった?」


いつものへらへら顔はどこに置いてきたんだとクルー達が驚きを隠せない表情でシャンクスを三度見するぐらい真面目な表情で、名無しの背後に立つ。
声も引き締まっていて、どこのスイッチを押したらそうなったのか詳しく知りたいぐらいだ。

シャンクスの真面目な声に名無しがぴくっと小さく反応して、再度後ろを振り向いて数秒シャンクスを見つめる。




「お頭、どこに行かれてたんですか?今副船長に報告してたところです」


「そうか、悪かったな。遠くまで出して」


ぽんぽんと名無しの頭を撫でるシャンクスに、名無しは特に何も言うことはなく、大人しく頭を撫でられていた。



「アンタもやれば普段から真面目な顔出来るんだな」


「よせ、ベック。あまり突っつかれると崩れそうになる」



至って真面目な顔でベックマンに手で制止を掛けるシャンクスは、どこからどう見ても四皇の名に恥じない船長だ。

そんなお頭に名無しは心底惚れているのであって、普段のシャンクスはお頭ではない。
そう言う認識だ。


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