01
「お前等相変わらず仲良いなー」
エースは4番隊の休憩に出会して、いつものように声をかける。
からかいとネタの為だ。
それをわかっている名無しとサッチは顔を見合わせて、軽くキスをする。
ちゅっと大げさに音を立ててから唇を離すと、エースがゲラゲラと笑った。
「当たり前だろ?そーしそーあいだもんな?名無し」
「そうだよ、もはや私達に敵うラブラブカッポーなんていないんじゃね?」
唇が触れる距離で囁く二人はまた軽くキスをした。
「お前等良くできるなそんなこと!!」
ゲラゲラと楽しそうに笑うエースにサッチと名無しもつられて笑う。
そう、これはただのネタだ。
名無しとサッチは相思相愛でもなければ、付き合ってもいない。
「お前がさせたクセによく言うぜ」
「そうだそうだ、エースが言うんじゃない」
顔をしかめてお互いに顔を見合わせた二人は苦笑してサッチが出した煙草を同じようにしてくわえる。
そしてサッチが煙草にライターで火をつけて、煙草に灯った火を移すようにして先同士をくっ付けて名無しが火を貰う。
ライターがあるのだからライターでつければいいのだが、まぁこれもある意味でネタだ。
たまたま冗談でやったらウケて、人が居るときには必ずやるようになるハメになったわけだが、決して苦ではない。
仲が良い、ただそれだけだ。
男でも女でもない。
お互いの中にある感情はただの友情であって、キスなんて笑いの種でしかない。
「しっかしまぁ、よくそんなに一緒に居て飽きねぇな」
感心するように呟くエースが笑い疲れたのか空を仰ぎながらお腹を押さえる。
同時に紫煙を吐き出しながらサッチと名無しは笑う。
「飽きないよねーサッチ」
「んあ?そうだな、だってほら、俺らラブラブだし」
「って何回もさせんなよ!」
名無しがビシッとサッチに突っ込みをいれると、エースがまた大きな笑い声を上げた。
毎日毎日同じことばかりやっている気がする。
最近はネタ不足だ。
キスをネタにしたのはいいが、一日何十回しているかわからないぐらいで、唇が乾燥して仕方がない。
そろそろサッチだって飽きてきてもいいはずなのに意外にも気に入っているのか、止める気配がなく。
名無しとしても止めるタイミングが掴めないと言うのが正直な気持ちだ。
「なぁ、名無しって俺とは出来ねぇの?」
エースの素朴な疑問に名無しは目を細めて、顔を上げる。
「あー‥ダメダメ、愛するサッチが悲しんで海に身を投げるかもしんないじゃん?」
ケラケラと笑いながら言う名無しにエースが笑いを堪えながら、そうだなと頷いた。