ものぐさ同居人







うちには名無しと言うニートの同居人がいる。
本人は自宅警備員だと言い張るが、サッチから言わせればニートだ。


家事もしない、バイトもしない。と言うか何かしようとする気概も感じ取れない。



だらだらだらだら生きている。


飯を作れば
「まぁまぁですな」
と実に何とも言い難い反応をして。


買い物に行くと言えば
「何か買ってきて、なんでもいいから」
と他力本願。


何が良いのか尋ねれば
「お気持ちで」
と言う始末だ。



寒く澄んだ空を見上げて、仕事帰りのサッチは大きくため息を吐いた。
白い息はふわりと舞って空気に溶け込んでいく。


名無し用のお土産を手にして、一体何をしているんだと自分に問いたい。




「…ただいま」


「おかえりサッちゃん」


「何してんだお前…」



ずるずると布団を引き摺りながら歩く名無しに、コンビニの袋を落としてしまった。
煙草とシュークリームがくしゃっと嫌な音を立てる。



「いや、寒いからね」


「暖房付けろよ、電気もちゃんと付けろ」


微妙な明かりの中で、布団にくるまって丸くなっている名無しにサッチはため息を吐いた。



「面倒なんだもん」


「家の中歩くのが面倒なんて聞いたことねぇよ」



電気を付けて、暖房を入れて、買ってきた煙草と名無しの為のシュークリーム、部屋の鍵を机に置く。



「これはお土産っすか」



机の上に置かれたシュークリームに名無しが遠くのベッドから反応するが、動く気配すらない。



「お前…いつからそこにいるんだよ」


「そうだね…うーん‥起きた時からだから、わかんない」


「考えるのが面倒になったんだろ」


「いやいや、まぁまぁ」



面倒そうに布団に顔を布団に埋める名無しにサッチは新しい煙草を開けて、火を点けた。

シュークリームを名無しに差し出すと、無言で見つめてくる。



「あ?食わねぇの?」


「手を出すのが億劫」


「…そこまでか」



布団の中でごそごそと動く名無しは口を開けた。
白い煙を吐き出したサッチは煙草をくわえたまま、シュークリームの袋を破る。



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