02






栄養の事を考えたらうどんばかり食べさせたらいけないのはわかるが、どうせなら美味しく食べてもらいたいので結局うどんを作ってしまう。


甘やかしてしまうのはいけないと思うが、どうしても名無しが喜んでしまう方へと感情が傾くのだ。



「煮込みうどんにするかなー」


冷蔵庫の中身を確認しながら呟いたサッチはとりあえず野菜をうどんに詰め込める煮込みうどんに決定。
と言っても一週間に二回は煮込みうどんにしている気がするが、暖かくなってきたのでそろそろ煮込みうどんも出来なくなる。


これからのメニューも考えものだ。


サッチ自体は好き嫌いはないが、名無しの好き嫌いが多すぎる。


好きなものはうどん・みかん・漬物ってどうやって生きてきたのかが不思議でならない。


だいたい名無しはどこでどんな風に生きてきたのかも知らないし、こんな調子でよく病気もなく生きてこれたものだ。




「ビール飲むか?」


「…うー‥ん、サッちゃんと一緒に飲む」


いつもに比べたら随分と口数が多い名無しは、今日はよく寝れたのだろう。



「風呂入るだろ?」



ついこの間までいたマルコの家では、ずっと真水でシャワーを浴びていたらしい。
何でってそれは勿論お湯の出し方がわからなくて面倒臭くなって真水で浴びていたに違いない。



よく風邪を引かなかったものだ。


面倒そうに半目でサッチを見てくる名無しはどうやら入りたくないと訴えているらしいが、見て見ぬフリをした。


シャツの袖を捲って、風呂掃除をし出すと珍しく名無しが覗きに来た。



「サッちゃん、手伝う?」


「なんだよ、どうした?」



名無しから手伝うなんて言葉が出てくるなんて本当に珍しい。
初めて聞いた。




「んー…別に、暇だから」



それなら毎日暇だろ、と言いかけて無理矢理飲み込む。
シャワーを名無しに渡すと、湯船に向かってダルそうに水をかける。
かける、と言うかただ持たされるまま持ってるだけなのだが、湯船の縁に頭を預けてダルそうにサッチが掃除をしているのを見ていた。



「楽しい?」


「んあ?別に楽しかねぇよ」


名無しが来るまでは湯船なんて使うことはなかったから、放置していたが名無しが住むようになってからはよくお湯を張るようになった。


名無しは面倒だから浸かりたくないらしいが。



「名無し、お湯止めろ。洗剤が全部流れるだろ」


「…ああ、うん」



ただひたすらに水をかけつづけていた名無しは軽く返事をして、サッチにシャワーを渡す。

手元で止めるなんて面倒なんだろう。




「……」


手伝い、と言えない気がするが風呂場まで自主的に歩いてきただけでも成長したんだ、と自分に言い聞かせた。



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