ラクヨウを見張るために朝までずっと起きていたせいか、朝日を浴びたら頭痛がした。
徹夜なんて仕事の時ですらあまりしたことがなかったのもあり、身体がついていかないと言うのが現実だ。

だからといってこんなに天気がいい日に朝から寝る気にはなれない。
朝日が眩しいのにベッドに入るなんてなんとなく罪悪感を感じてしまう。


「海賊目指すんだから朝も夜も寝れた方がいいんだろうけど」


暖かな日差しに目を軽く閉じて独り言のように口を開いた。


比較的平和的なこの島は、白ひげ海賊団のマークを掲げている所謂白ひげの縄張りだ。

ビッグマムやカイドウとは違い、みかじめ料は取らない上に海軍に守ってもらうよりも安全。
白ひげ海賊団のマークを掲げている島はどこも多くの人が四皇と呼ばれる大海賊に感謝をしているのだ。


海軍は仕事で仕方なく守ってやってる感じがあるが、海賊は面子やプライドのために妥協せずに守ってくれるらしい。名無しが海軍にいるときも何度かそういった住民に遭遇したことがある。

そういう住民は必ず口を揃えてこういうのだ。
『海軍はいつも後手後手だ。守って欲しいときにはいつもいない』と。


事件後に上官から命令を受けて駆けつけたものの、事態はすでに手遅れ。逃げた海賊を追いかけるなんてことも多々あり、その言葉に返す言葉は最後まで見つけることは出来なかった。


正義を貫くことも出来ず、かといって悪にもなりきれない。
中途半端な自分の人生が嫌になってしまう。


自嘲するように目を伏せて短く笑った瞬間、後頭部に鈍い痛みと衝撃を感じで無意識に後頭部に触れた。
指先に触れたのは生ぬるい血。
少し触っただけで指をだらりと血が伝うのがわかった。


「……っ」


目の前がぐらりと揺れて気が遠くなるのを感じる。
絶え間なく流れている血が首筋を伝い、漸く背後から攻撃を受けたのだと理解した。


「随分探したぜ、お姉さん」

「昨日はよくも邪魔してくれたな」


嫌悪と嫌味をたっぷり含んだその声は夜中に聞いたばかりの声で、忘れようにも忘れられない追い剥ぎの声だった。
笑い声からして複数人いるようだったが、振り返る余裕はなく落ちていく意識の中でただひたすら中途半端な人生を悔やむばかりだった。


もっと自由に生きればよかった、と。


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