こうかはばつぐんだ!


気が強そうなつり眉と、幅の広い二重。少し厚みのある唇には綺麗に口紅が乗せられていて、いたぶるように煙草がくわえられている。できる女を体現したような女性、それがヘルメッポの憧れるヒナ嬢。
黒檻のヒナと呼ばれ、大佐という地位にいるらしい。
実際大佐がどれぐらい偉いのかはいまいちわからないが、大の字が付いているから偉いんだろう。


「なんでヒナとテメェが一緒に来るんだ」

「部下が仕事を押し付けてたの、ヒナ驚愕」

「危うく押し付けられそうになってたの」


ため息混じりに呟いたヒナは、たしぎが用意してくれた紅茶に砂糖を入れて、優雅にティースプーンでかき混ぜた。
濃いピンク色のかっちりしたスーツで、手には上質そうな黒い革の手袋が装備してあり、いかにも軍人といった感じだが味覚は髪の毛のイメージ通り甘党寄りらしい。


たしぎもスモーカーと同じぐらい敬っている感じが伝わってくるぐらいだ。憧れの対象だったりするのだろう。



「フルボディが私をいじめようとしたところをヒナ嬢が来てフルボディを罵ったの。そしたらフルボディがなんか恍惚な表情でヒナ嬢を見つめてて私は思ったのです!こいつはやべぇ!と!!」

「テメェの頭がやべぇのはわかったから黙れ」


出された紅茶に見向きもせずに立ち上がって力説する名無しをあっさりスルーしたスモーカーは、口にくわえた2本の葉巻に同時に火を点けた。


「酷いモクモクさん……いくら私が三等兵だからって二等兵ぐらいのやつに命令される謂れはないじゃん!」

「フルボディは三等兵よ」

「三等兵って私と一緒!聞いたスモーカー!?私と一緒!」

「お前から滲み出る雑魚臭が命令させたんだろ。いいから早く仕事に戻れ」


悔しさで地団駄を踏む名無しを横目に、スモーカーは追い払うような仕草をした。
もう早く追い出したくてたまらないらしい。
たしぎとヒナでイチャイチャしようとしているに違いない。厭らしい男だ。


「してねぇよ。仕事の話をするから出ていけって言いたいのをオブラートに包んでやってるんだろうが」

「全然包んでないよ!寧ろ仕事の話をしたいから出ていけって言われた方がよっぽどマシだよ!!」

「仕事の話をするから早く出ていけ」

「なんか本当に言われたらちょっと凹む!ね、ヒナ嬢!」

「なんでわたくしに振るの?ヒナ、迷惑」


ヒナに同情を求めてみたが、絶対零度な感じで突き放されてしまった。











こうかはばつぐんだ!


「なんか女性に言われると相当刺さる!」



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