大将代理



クザンの部屋を訪ねたら、何故か名無しがいた。
確かに名無しが大将の下についたことは知っていたが、こんな我が物顔で大将の部屋に居座っているとは思いもしないだろう。


「やあいらっしゃい!名無し大将だよ!はははっ!」

「………」


「あらやだ冷たい…そういう年頃なの?反抗期?反抗期ってやつ?」


部屋に入った瞬間、クザンが座っていないといけない場所に名無しが座っていて、ふんぞり返りながら書類を持っていた。

大将の下についたこと自体異例なことなのに、こんなにもふてぶてしい態度で居座っているなんて誰も思わないだろう。
クザンもクザンでなんの違和感もなくソファに寝ているからなんとも言えない。



「アンタ、なにしてんだ」


ソファに寝転がっていたクザンを呆れたように見下すと、クザンはソファからはみ出していた足をゆらゆらと揺らした。
正直クザンはどうでもいいんだろう。仕事机に座っていてもソファに寝転がっていてもすることは一つしかない。


「あー…あれだ、名無しちゃんが手伝ってくれるって言うからね」


大きく口を開けて欠伸を一つ溢したクザンは、眠そうに目を擦る。
この状態を見て、誰が手伝って貰っているように解釈するのだろうか。誰がどう見ても名無しが仕事をしていて、クザンはそれを見ているやる気のない上司だろう。

例え重要な書類は抜いていたとしても大将としてはあまりにも不謹慎だ。


「聞いてよモクモクさん!さっき書類の雪崩が起きてさーっ!」


バシバシと大きな机を叩きながら愚痴を溢す名無しは、クザンがソファに寝ていることになんの違和感を感じないらしい。
グラグラと揺れる書類は少し前に見たときの半分程に減っていた。


「『サバンナ島での遠征についての報告書』」

「適当に印しといて」


書類の読み上げをしていく名無しは、誤字脱字に苦戦しながらかいつまんで内容を読み上げていく。
いつも見ている名無しの性格からは考えられないぐらいの仕事の仕方で、いつもの名無しなら3分ぐらいで飽きて居なくなりそうだ。


ともあれ、クザンの仕事が進んでいるのは喜ばしいことなのかも知れない。
センゴクに見つかったらどやされるどころでは済まないだろうが。












大将代理


「もじゃ男!一時間経ったけど延長しますか」

「あー、うんうん。延長して」






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