がちゃがちゃと武器庫の整理をする名無しは、鞘の中身を見て修理と廃棄の二つの箱に分けていく。
刀鍛冶を探していた名無しの話を聞き付けたセンゴクに行きつけの鍛冶屋を教えるから武器庫を整理しろと命令されたのだ。
もともと武器系を弄るのは嫌いじゃないが、大量生産されたものはあまり楽しくない。
どれもこれも刃こぼれしてしまっていて、どうしてここまで放っておいたのかが不思議なぐらいだ。
「まず使えなくなった剣を用意します。鞘から半分だけ取り出し、振りかぶります」
つまらなくなってきた名無しがダメになった刀を鞘から少しだけ出して振りかぶる。
それから少し離れたところにいたヘルメッポの頭に振り落とした。
「あだっ!!」
剣先から伸びた空の鞘が少し遠くにいたヘルメッポの頭にスコーンっといい音を立てて当たった。
「使えなくなった剣にもこのような再利用方法があります」
「おい」
「飽きてきたドン!」
「おいっ!」
ヘルメッポを殴った剣を廃棄の箱に放り投げた名無しは、背後から聞こえる声を無視してまた新たな剣を手にとった。
朝から休憩なしでずっとやっているが、減っていない気がする。
「おいっ!!」
ため息混じりに剣を整理する名無しの頭をヘルメッポが後ろから思いきり掴む。
「いだだだだっ!」
ミシミシと軋むぐらい強く掴まれた頭に釣られるように立ち上がった名無しは、持っていた剣を放り投げてヘルメッポの手を振り払った。
何だかんだで鍛えられた握力は侮ってはいけない。
「止めてください!職場内暴力ですよ!プンプンッ!」
「なにがプンプンだ!暇だってだけで人を殴るやつが声高々に暴力を語るんじゃねぇよ!」
「記憶にございません」
「折角人が善意で手伝ってやってんのに、お前なんなの?」
「さすがだヘルメッポ!結婚しようヘルメッポ!」
責め立てるように襟首を掴んでぶんぶんと揺さぶるヘルメッポに、名無しは投げやりにプロポーズした。
「えっ」
「ごめん、そう言えば私にも好みがあったんだった」
「なんで俺がフラれたみたいになってんの?マジ意味わかんねぇんだけど?」
「もう私にもわけわかんないよ」
噛み合わないのはお前のせい
「もうわけわかんねー!」
「なに怒ってんの?もしかして女の子の日?」
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