袋小路フラグ



肺から絞り出るような息がゼイゼイと煩い。
隠れているのに自分の呼吸の音でで気がつかれてしまいそうなぐらいだ。

本来なら海賊が海軍を追いかけて来るなんてことはないのだが、喧嘩を売ってしまった。
しかも数人は邪魔だったので腱を切ってしまった。仕方ないことだったとは言え、これが仲間意識の強い海賊に火を着けてしまったらしい。

今や油の注がれた火のように海賊達は盛り上がり、血眼になりながら名無しのことを探しているだろう。


頭の中を今までの思い出が走馬灯のように…。いや、さすがに走馬灯のようには流れなかったが、今更ドフラミンゴに5千ベリー貸していたのを思い出して何となくムカついた。
利子を付けて返すと言われたから仕方なしに貸したのに、そもそもあまり会う機会がなく、会っても思い出せないというのが主な原因だ。


「もうだめ!死亡フラグ立った!このままだと結婚を約束して戦争に出るやつと同じぐらいの確率で死ぬ!つまり100パー死ぬ!」


仲間に助けを求めようにも、島自体が広く、たった数十人を見つけることは困難だ。
それに集団行動がいやで逃げてきたのに今更手ぶらでノコノコも帰れない。


「せめて中ボスぐらいは倒さないとどや顔で戻れない…」


過剰に走ったお陰で飛び出てきそうなぐらい脈打っているし、足もガクガクしている。
隠れやすい路地裏に逃げ込んだのはよかったが、今襲われたら狭すぎて刀が使えないという破滅的な展開だ。

とりあえずこのクソ不味い状態から逃げ出さないといけないので、奥へ抜けようと模索しているが残念なことにどんどん狭くなっていく。
抜刀したままだった刀を仕方なく鞘に戻し、細い路地をすり抜ける。


背後から迫ってくる多勢の足音は聞き間違いだと思いたい。


「クソ海軍!どこいきやがったぁっ!てめえだけはぶっ殺してやるからな!」


そして建物の隙間ををすり抜けるようにして聞こえてくる罵声もきっと気のせいに違いない。














袋小路フラグ


「なんか絶対行き止まりな気がする!私の人生いつも行き止まりだし」





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