おっさんだらけの麻雀大会



海を切るようにして進む船にはマリーンの文字と、それを象徴するようなマークが掲げられている。

本部から出発してから2日は経ったが、未だに島に立ち寄る気配がない。
別に早く到着して欲しいわけではないが、いかんせん暇だ。
コビーやヘルメッポは隊が違うので船には乗っておらず、知り合いは殆どいない。


「あー…、つまんねーっ!からのー……ロンっ!」


綺麗に一列に並べていた牌をバラバラと倒した名無しは厳つい海兵を目の前に堂々と麻雀を打っていた。


そもそもこの船には必要最低限の人数しか乗ってはおらず、ダルメシアンの同僚だったりクザンに同調する海兵だったりで、みんな緩い。
麻雀も夕食後に当たり前のように始めて、面子がたりない卓が出たので名無しが入ることになったわけだ。


「お嬢ちゃん強ぇなぁ!さっきから連勝してるじゃねぇか!」

がははっと上機嫌に笑うおっさんたちは全員将校だが、名無しが新兵だとかそんなことはどうでもいいらしい。とにかく自分達が楽しければ相手が誰であろうが構わないようだ。

全然勝てねぇな、とぼやきながら牌をかき混ぜる将校達はコートさえ着てなければ海賊と大差ないようにみえる。
煙草はひっきりなしに吸っているし、酒瓶も離さない。

じゃらじゃらと牌を混ぜながら牌を積むおっさん将校達のトーク内容はもっぱら上司ネタばかりだ。誰の考え方に賛同するだとかあいつの考え方は合わないだとか。

興味すらないので全て右から左に抜け落ちていくが、酒のつまみ程度に話しているその言葉に重みはなさそうだ。


「お前は大将赤犬が嫌いだろ?なんせ本部では反乱因子扱いだもんなぁ」


苦虫を噛み潰したような顔で煙草を揉み消した目の前のおっさんに、名無しは軽く首を傾げた。


「人間的に合わないだけで嫌いじゃないんだけどね!どうもズッキーと目が合うとイラっとしちゃうんだよね、ははっ!」

「それを嫌いって言うんだろ」


親指を立てて無駄な笑顔を披露した名無しにおっさん達は顔を見合わせて肩を竦ませた。












おっさんだらけの麻雀大会


「えーっ!顔を見るだけで殴りたくなったり口答えしたくなるのは嫌いだからだったのかーっ!」

「なんか大将の気持ちもわからんでもないな」


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