「ねぇ、ケツ顎」
「あ?」
朝食をだらだらと食べていたヘルメッポは、口にパンを含んだまま面倒そうに名無しの方を振り向いた。
本来なら食べたくないのを無理矢理口に突っ込んだんだろう。海軍では朝食いらなーいなんて低血圧の言い訳は一切聞き入れられない。死にたくなきゃ食え、この一言で全て切り捨てられる。特に新兵は。
だからヘルメッポも無理矢理口の中に押し込んでいるのだ。
「…振り向く時はちゃんと飲み込んでから振り向いたら?すごく感じ悪い!」
がつがつとご飯を口に詰め込みながら怒る名無しに、ヘルメッポはなにやら言いたげだったが、無理矢理咀嚼をして口の中身を噛み砕いて飲み込んだ。
ごきゅん、と痛々しい音がしたが、本人は何ともなさそうだ。
「なんだよ」
「…え?」
「いや、呼んだだろ?」
腕で口許を拭ったヘルメッポは、とぼけた顔をする名無しに首を傾げた。
「…なんか聞こうと思ったんだけど忘れたわ。ケツ顎の行儀が悪すぎて!!…あ、米粒飛んだ」
「行儀悪いのはどっちだよ!」
「馬鹿だな。間違って器官に入んなくてよかったじゃん、私の!」
「知らねぇよそんなこと!つか呼んどいて忘れるんじゃねぇよ馬鹿!」
「じゃあさ!じゃあさ!」
ばんっと左手でテーブルを叩いて立ち上がって睨み付ける名無しに、ヘルメッポも成り行き上立ち上がる。
へんなところでノリがいいやつだ。
「鼻から米粒が出てくんのと、口から米粒が出てくんの。どっちがいいよ!?」
「……は?え?そりゃあ口だろ」
「だろ!!」
ふんっ、と鼻から荒い息を吐き出して椅子にふんぞり返りながら座る名無しを見て、ヘルメッポは納得いかないような顔で首を傾げた。
現在進行中
「なんか違わないか?こんな話してなかったよな?」
「え?気のせいじゃない?よくあるよくある!」
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