こっち見んな



今日、各隊への配置が決まる。
朝早くから集合をかけられ、名無しとしては眠たくてしかたがないのだが、気のせいか周りの奴等の表情はキラキラしている気がする。


自分が好きで早起きするのはいいのだが、誰かに起こされるのは本当に気にくわない。
起こした奴を2時間は呪ってやりたくなるぐらい気にくわない。


「もっと粘れよ。2時間じゃ誰も気がつかねぇだろ」


寝癖のついたぼさぼさの髪の毛をかき混ぜながら欠伸を披露した名無しの隣でヘルメッポが刺々しく毒づいた。
朝日もまだ昇らない早朝だというのにヘルメッポのストレートヘアは今日も絶好調らしい。

因みに今日起こしに来たのは他でもないヘルメッポだ。あれが起こしに来たと言っていいものかわからないが顔面を足で踏まれた。


「最長2時間だし。そもそも人を呪うぐらいならまず真っ正面から殴るね私は」

「そうだろうな。俺は勿論殴り返す」


不貞腐れたままお互い地面を睨み付ける二人の頬は赤く腫れ上がっている。

そんな二人の事情なんてしらない上官達が集合時間を少し過ぎてからぞろぞろと入ってきた。
ざわついていた新兵達が途端に静まり返り、空気が一気に張り詰めた。名無しとヘルメッポの空気も緊張状態だが、周りはそんなことも気にしていられないようだ。


「なんかダルメシアン中尉の顔色悪くないか?」


新兵の一人がぼそりと呟き、その声に新兵達の視線が不自然なほどダルメシアン中尉の方へと向く。
誰が言ったかはわからないが、言われた通りダルメシアンの顔色はすぐれない。人生に迷っているような感じだが、半犬人として普通に生きているのだから今更何を迷うことがあるのだろうか。


「ぶっ!!」


いきなり隣で吹き出したヘルメッポが名無しの方を睨み付けていた。


「口から出てんだよこのクソ女」


慌てて口を塞いだかと思えば舌打ちでもしそうな口調で名無しに吐き捨て、何事も無かったかのようにまた前を向いた。
前ではガープが淡々と所属先を発表していて、みんなそれを聞き逃すまいと真剣に聞き入っている。

ヘルメッポとコビーはどうやらガープの下につくらしい。
名無しもガープと話がついていた筈だったのだが、何故かダルメシアン中尉のところの最後の最後で名前を呼ばれた。


何故かその場にいた全員が納得したような顔をしてダルメシアン中尉の方を見てから名無しの方を見た。


同期は貴重な仲間だと言うが、正直みんな海に沈めばいいと思った。















こっち見んな


「ダルメシアン中尉の苦労を考えると胃が痛くなるよね!ははっ!」

「お前が言うな!」




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