無人島演習二日目



朝は暗いうちから叩き起こされ、朝食を摂る前に山に登り始めた。
無人島演習のメインである山登りは、本来なら2日かかるところを1日で登ってしまおうという素晴らしい無茶振りで出来たらしい。大将の一人が決めたらしいが、こんな暑苦しい演習を考えるのはサカズキを除いて他にいないだろう。


まぁ早起きが苦ではない名無しにとってはそんなに辛いことではない。
寝るのは好きだが、楽しいことがあるのであれば寝なくても平気だ。子供が次の日のピクニックが楽しみで眠れないあの現象によく似ている。


「ねぇねぇ!ちょっとちょっと!」

「んだよ、うるせぇ」

「名無しさん…眠くないんですか?」


少しオーバーに手を動かし、コビーとヘルメッポを呼んだ名無しは少しだけ見えた頂上を指差した。
まだ辺りは薄暗く、雲がかかっているせいもあり見えづらいが、躊躇なく登っていく先頭のスモーカーのおかげでかなり進み具合が早いことがわかった。


「あそこまで登るんだってよ!マジぱねぇっ!普通に考えて無理だろ!」


ギャーギャーと朝から騒ぎ立てる名無しにコビーとヘルメッポだけではなく他のメンバーまで顔をしかめた。
それもその筈、最初からハイテンションで登れば後から体力が続かなくなることぐらい少し考えればわかることだ。名無しについてテンションを上げれば自滅するのは火を見るより明らかだ。


「おい、暴れてバテても知らねぇぞ」


少し登っては飛び跳ねて叫びまくる名無しに、スモーカーが呆れ気味に振り返って溜め息と一緒に溢す。
スモーカー自身体力がないと言うわけではなさそうだが、まさか大佐になった今山登りをするとは思っていなかったんだろう。もう山登りいやだと顔に書いてある。


「ねぇねぇ!一番先に天辺に登ったやつにみんながご飯を奢るのはどうだろうか!」

「お前山登りの趣旨わかってねぇだろ」

「山登りに趣旨もクソもあるか!天辺を制するもの、それ即ち正義!!」


肩をつんつんと突っついた名無しに、ヘルメッポが至極嫌そうな顔をして吐き捨て、名無しの反論に忌々しげに顔をしかめて、ひきつったような表情を見せた。
ここまで嫌われているとある意味清々しくなってくるから不思議なものだ。


「この山登りはまだ団結力のない新人がお互いに励まし合いながら達成することにより、仲間だと自覚するための…」

「仲間だと自覚しても死ぬときは一人だって!気にすんな!」

「縁起が悪いこと言わないでください…」

「笑いながら元も子もねぇこと言うんじゃねぇよ」


ひひひっと引き笑いを披露しながらコビーとヘルメッポの肩をぽんぽんと叩いた名無しに、二人はげんなりと顔を曇らせた。

















無人島演習二日目


「ってことで天辺まで競争ね!!負けたらズッキーの部屋に特攻!」

「罰ゲーム死亡フラグじゃねぇか!」




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