いい感じに充電されました



息が弾み、指先にピリピリと痺れが走る。
あちらこちらから滲む血のせいか、身体には寒気が走り意識が薄れていく。


「しぶといなぁ」


時間がないのに、とシードルが刀を軽々と降り下ろすと、刀に付着していた名無しの血液が地面に散る。

切り刻む宣言をしてからシードルの攻撃は首だけに留まらず、あらゆるところが標的になった。
防御範囲が広がり、その分反応も遅れがちになってしまうのは至極当然。なんとか致命傷は避けていので未だに立ってはいるが、無傷なシードルとの力の差は歴然だ。


「早くその首チョーダイ!」

「お断りだ!」


甘えたような声で物騒なことを言いながらシードルは、少し離れた状態で宙を斬るように雷斬りを振り切った。
その波動が斬撃の波になって襲ってくることは、ミホークと一緒に居たときに十分過ぎるほど味わってきている。

慌ててガードしてみたが、反応が遅れたせいか柄に当たりそのまま黒骸が勢いよく弾かれた。
手から離れることは無かったが、正面のガードがなくなり、どうぞ首を取ってくださいと言わんばかりの無防備な姿になった。

シードルがこれ以上ないぐらいの笑みを浮かべて、二撃目を放とうとした瞬間、なにかに怯えたようにびくりと肩を竦めた。


「……っ!」


首に狙いをつけていた筈だったのだろうが、一瞬怯んだおかげで首から少し外れた二の腕を斬撃が抉る。
傷口にはビリビリと電気が走り、盛大に血が吹き出たが、斬れたところが脂肪だったおかげで刀はまだ握れた。


「厄介な奴が来てるのね。アンタの上司?」


忌々しげに舌打ちをしたシードルは、背後を気にするように視線を泳がせたあと名無しの方を見て短くため息を吐く。いかにもやれやれと言わんばかりのその態度は、とてもじゃないが年下には見えない。


「嫌なやつ!嫌がらせにアンタの首でも飾ってやろうかしら」

「物凄いとばっちりな感じがヒシヒシと伝わってくる!」

「切り刻んでぐちゃぐちゃにして軍艦に放り投げてもいいんだけど、今は引く。雷斬りの機嫌が悪いからね」


電気を帯びた雷斬りを鞘に納めたシードルは、天気を気にするように空を仰いだ。
雷斬りは乾燥を好む刀だ。空気が湿気ってきたことで本来の実力が出せなくなってきたのだろう。
機嫌に左右されるのは妖刀の強みでもあり、弱みでもある。

今回は妖刀と、どこかの嫌なやつに助けられたらしい。















いい感じに充電されました


「次はその汚い首頂戴ね」

「汚いって言うな!」



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