ガードします



チリチリと金属が擦れ合う音が聞こえて、黒い刀身が重たい長刀を受け止めた。
押し潰されるような重さは戦斧そのものの重さでもあり、そして少女の体重プラス勢い。

無理矢理力で押し返したが、少女はひらりと身体を翻して綺麗に足から着地した。それと同時に少女の長刀がズシャッと地面にのめり込む。

細い黒骸の刀身でよくぞ持ちこたえたものだと刀を褒めてやりたくなる。



「やるねぇ、海兵さん。見たところ将校クラスじゃないみたいだけど」


ヒュウと茶化すように口笛を吹いた少女は、まるで遊んでいるかのような口振りで、楽しそうに口角をつり上げた。
どう見ても12やそこらにしか見えないが、手並みや度胸だけ見れば30越えていても違和感はない。

少女が首をコテッと傾けると、可愛らしいツインテールがゆらゆらと揺れた。


「まさかと思うけど、首切りシードルって」


なんの根拠もないことだったが、名無しにはそうとしか思えなかった。
最初の一撃で確実に首を取ろうとしてくるその動きが、直感的にそう告げている。


「うん?よくわかったね」


肩に背負うように雷斬りを背負ったシードルは、特になんの戸惑いもなく頷く。
パリパリと細い電気を纏い出した雷斬りがその意味を教えてくれていた。つまり、永久的に口を塞じてしまうつもりらしい。


可愛らしい外見からは全く想像もつかないほどに、目が狂気に満ちていて、気が付けば攻撃範囲に踏み込まれていた。


「……ッ!」


半歩後ろに下がって身体を反らしたが、長刀の長さに反応しきれずに頬の肉を少しだけ裂ける。
その結果に不満だったのか、シードルは赤い唇を尖らせて舌打ちをした。


「もーうっ!弱いんだからさっさと首切らせてよー!」

「嫌だよ!弱者にだって自己防衛する権利はあるんだから!」


首に執着しているせいか、首だけに集中して攻撃してくるため、ぎりぎり防御は出来る。それがシードルには気にくわないらしく、眉間にシワがどんどん寄っていくのがわかった。

防御は考えなくても出来るようになれというミホークの教えが今になって役立つとは思いもしなかった。













ガードします


「もう怒った!切り刻むからね!」

「えぇっ!?」



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