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基本的に、あまりストレスを感じない自由な生活をエンジョイしている方だと思う。
コビーとは違い、責任から逃げているし、家業も職人タイプの仕事だったため気が向かなきゃ仕事しなーいみたいなわがままがまかり通っていた。と言うか名無しの母が典型的なそのタイプで、スランプを理由に2年ほど旅に出ていたこともあった。

そんな理由もあってか、名無しはなによりもストレスに弱い。

殴られたり虐げられることにはストレスは感じないが、机に向かっていることにはかなりのストレスを感じるのだ。
これも全て仕事をしないクザンのせいだ。


「……」


不機嫌そうにムスッと顔を歪めた名無しは、頬杖をつきながらガリガリとペンを走らせる。
一枚一枚と減っていく書類が唯一の癒しになっている。
今までにあり得ない癒しだ。こんなことに癒しを感じるようになったなんて、ある意味歳を感じる。


「名無しちゃん随分ご機嫌悪いね」

「誰かさんが真面目に仕事しないからね」

「おー…そりゃあいけねぇなぁ」

「なんて白々しい……」


ソファーからはみ出したクザンの長い足がぶらぶらと揺れて、イライラを増長させる。
あまりにもダラダラと仕事をしているから人がちょっと手を出したところ、本格的にダラダラし始めた。本当に救えない。


「そう言えばこの間本で見たんだけど」

「ああ!わかるわかる」

「あららら。残念ながらまだ何も言ってねェのよ」

「やだー、失敗☆」


てへっとわざとらしく舌を出して頭を叩いて見せたが、クザンの反応はやはりたいしたものではなかった。寧ろ真顔に近い。
初めてクザンに罪悪感を感じた瞬間だった。



「なんかすまんかった。出来心で」

「あー…いや、可愛いんじゃない?若さが溢れてて」

「嫌味か」

「あららら。本音に決まってるじゃないの」

「何が本音だ!道端に生えてる若々しい雑草に可愛いですねって声をかけるやつがいるか!?いないだろ!お前のしてることはそういうことだぞ!」


怒りに任せて捲し立てると、クザンは右から左モードに突入していた。














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「せめて聞けよ。聞いてよ。聞いてください……」


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