便りがないのは元気な印



「たっだいまーんっ!」

「あがっ」


久しぶりの海軍本部に着いて、クザンを振り返ることなく真っ先に向かったのはコビーとヘルメッポのところだった。
丁度昼食時だったこともあり、二人とも並んで食事をしていたので、突っ込みやすいヘルメッポに後ろから抱きついた。


「あご?いやいやお前のアゴの存在は忘れてないから大丈夫だよ」

「言ってねぇよ!うどんの汁に突っ込んだだけだ馬鹿!」

「道理で私のビューティな腕にいい出汁がかかったと思ったんだよ」

「なに?お前のウザさがヤバイんだけど」

「ペロッ!これは……うどんの出汁!」

「……」


駆け足どころか猛スピードで駆け抜けていく名無しの一人小芝居に、ヘルメッポは途中からついていくことを諦めて黙り込んだ。
コビーも最初に一言だけおかえりなさいと呟いただけで、それ以降は他人のフリをしてソバを啜っている。


「お前ら冷たいな!久しぶりにあった同期よりうどんソバの方が好きか!?」


振り向きもしない二人にわきあがる悔しさからギリギリとヘルメッポの首を絞め上げる。
苦しさからバシバシとテーブルを叩いたヘルメッポに、周りの海兵達は眉間にシワを寄せた。

あからさまに迷惑そうにしているわりには文句が飛んでこないのは、ある程度ヘルメッポとコビーの位置関係が出来てきたということなのだろう。


「え?お前いなかったの?」

「そこから!?そこからなの!?ちょっと待てよ!さすがにそれは酷いだろ!」


ちょっと締め上げていた首を緩めた瞬間に、ヘルメッポが軽く振り返ってとぼけたように少し口を開けた。
その情けない顔が更にイラつかせる。あまりにムカついたので、ヘルメッポのうどんにこっそり七味を全部突っ込んだ。


「いやいや、知ってましたよ。作戦中に迷子になったんですよね」

「ああ、そうだったな。迷子になったって聞いた気がするな。平和すぎて忘れてたわ」

「薄情な子達!私が拐われて拷問とかされてたらとか考えないの!?」


不満げに口を尖らせてぶーぶー言った名無しを見て、コピーとヘルメッポはゆっくりと顔を見合わせた。


「そんなこと全然」

「……考えませんでした」


当たり前のようにそう呟いた二人に泣きそうになったが、肝心の涙は出てこなかった。













便りがないのは元気な印


「俺のうどんが赤い」

「誰だ!ヘルメッポさんのうどんに七味全部ぶちこんだやつは!」

「間違いなくテメェだろ」



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