人生終了のお知らせ



時間がない。
納得のいくような刀を造るためには3ヶ月なんてあってないようなものだ。


それなのに気がついてしまった。
海賊らしき赤い髪の男の身体に青チャリがくっついていることに。


「あああ…っ!なんであんなところに……!」


急いでいるし、青チャリなんかに意識を持っていかれている暇なんて全くと言っていいほどないといいのに、一度視界に入れてしまったが最後。
気になって仕方がない。


どうしたらいいか迷っていたところ、持っていた玉鋼が赤い髪の毛の男の方へ引っ張られていくのを感じた。
体にくっついている青チャリと引っ張られる玉鋼を交互に見た名無しは、赤い髪の毛の男が悪魔の実の能力者だということをなんとなく察した。

まあ、あれだけ派手に自転車やら刀やらを身体にくっつけている男が常人には決して見えないが。


「おーい!そこのちょっと弾けてる人ーっ!」


とりあえず青チャリを返して貰うべく、大きな声で手を振って呼んでみたが、どうやらお取り込み中のようで全く気がつかない。
面倒臭いのもあり、諦めようと思った瞬間、紙袋に入れていた玉鋼が袋を突き破って凄い勢いで赤い髪の毛の男の方へ飛んでいった。


「……」


一瞬なにが起こったのか理解できず、飛んでいった玉鋼を見ていたが、ガチンッとくっついた音がして漸く我に返った。


「うわああああっ!それはダメなやつー!!」


絶望感から叫んだ声は思いの外よく響いたようで、赤い髪の毛の男が名無しの顔を見て不愉快そうに眉を歪めた。


「無差別かよテメェ!マジ許さんぞーっ!」

「テメェこそなん…だっ!!」


猛スピードで玉鋼を追いかけた名無しは、そのスピードのまま赤い髪の毛の男にタックルを仕掛けたが、あっさりと避けられて頭からスライディングをかましてしまった。
突っ込んだ方も避けた方もまさかこんなにあっさり転ぶとは思っていなかったのか、微妙な空気がその場に流れる。


「んんんっ!」


咳払いをしながらおもむろに立ち上がった名無しは、身体についた砂を払う。


「……」


仕切り直そうと顔を上げたら、そこにいたのは大量の海兵がいた。













人生終了のお知らせ


「人生の難易度がアンノウン過ぎる!」



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