お気楽な四皇



ずるずると不味そうな音を立ててスパゲティを啜った名無しは、眉間にシワを寄せながら水で流し込むように飲み込んだ。


「まあ、そんなに悩んだって仕方ないだろ!いざとなったら逃げればいい」

「本当に適当野郎だな!そんなお前にはちゃらんぽらんの称号を与えてやんよ!」

「海賊だからな」


だはは、と豪快に笑いながら酒を呷るシャンクスは、ドフラミンゴが居なくなった瞬間に酒に手を伸ばし、足りなくなって今は酒場で追加飲みしている。

顔は真っ赤だが、そこまで酔っぱらってはいないらしく時々目が素面に戻っている。凄く不気味だ。


「約束破って逃げたらドフラが追いかけてくるし、約束守ったらママンが追いかけてくるし、目の前の男からはミドル脂臭がするし、もう八方塞がりや!」

「俺から!?」

「嘘ピョン」


いくら人の人生だからといってあまりにも未来を軽視しすぎるシャンクスに、ちょっとした悪戯でミドル脂臭なんて言ってみたが、思いの外傷付いた顔をしたので仕方ないので嘘ということにした。


「つかなんであそこで一刀斎のこと聞かなかったの?馬鹿だろ私!誰か止めろよ!」

「考える暇なく即答してたからてっきり最初からそのつもりだったのかと思ってな」

「考えてないよ!だって一刀斎のこと覚えてもいなかったんだもん!もん!もーんっ!」

「そう言えばお前馬鹿だったな」

「今頃か」


酒を飲みながらしみじみと呟いたシャンクスのせいで、こちらのテンションまで下がってしまった。
シャンクスも大概馬鹿なくせに、妙なところで大人になるから厄介だ。ノってくるなら最後までノってくればいいのにと思う。

クザンもそうだが、これだから覇気のないおっさんはいけない。


「つーか私は正義の味方だからね。その、じ、自分の刀よりも市民の安全を、その」

「なんで狼狽えてんだ」

「うっさい!誰もフォローしてくんねぇから自分で収拾つけようとしてんだろ!ちゃらんぽらんの馬鹿髪!」


気の抜けたような笑い方で適当に話を流すシャンクスは、きっとこんな会話のことなんてすぐに忘れてしまうのだろう。

気楽だが、虚しい気もする。















お気楽な四皇


「そういやー、副船長……いや、レイさんからの伝言があったんだった」

「それを先に言えよ!」



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