言いたいことは色々ある。
良心がちょっと顔を出したために提示した条件が余りにも軽かった。本当にオークションごと潰せばよかった。
オークションごと潰せばいいということをもっと早く教えてくれていればこんな後悔はしなかったのだろう。つまりシャンクス絶対許さない。
「こっちは約束通り開放したんだ。なにがなんでも聞いてもらわねェとなァ」
電伝虫から商品を開放したと言う報告を受けたドフラミンゴは、長い指を絡ませるように組んで、少し前のめりになりながら肩を揺らした。
「俺が欲しいのは紅玉だ。勿論飛びっきり出来のいい、贋作」
「簡単に言っちゃいかん!紅玉って言ったら」
「お前の母親なんかお前より若いときに作ってるんだぜ?越えられねェわけはねェだろ?」
生粋の天才肌だった名無しの母親だったが、紅玉を作ったのは黒歴史だと昔言っていた。
刀を振ったら紅いマグマが道を作る!なんてカッケーと思ってノリだけで造ったけど、なんであんな刀造ったのかわからない。と真顔で語っているのを聞いたことがあるので間違いない。
そんな母親の黒歴史を掘り返し、尚且つバージョンアップなんかさせた日には、地球の果てから潰しにくるような気がする。
ドフラミンゴは知らないのだ。どれだけ母親が怖いのか。
正直名無しにとっては世界一怖いし、そんな母親の刀を模倣なんてしてバレた日にはぬくぬくと生きていける自信がない。
「紅玉のどこがいいの。あんな悪ふざけの子供のちゃんばら刀みたいなやつ」
「フッフッフッ、俺だって知らねェよ。俺は客が欲しがるものを用意するだけだ」
どうでも良さそうに手を振りながら言うドフラミンゴだが、ドフラミンゴの顧客は所謂大物と呼ばれる海賊や政府の人間ばかりだ。
こんな注文をするなんて相当趣味の悪い顧客に違いない。
「期限は?」
「3ヶ月だ」
「死ね。期限は?」
「3ヶ月。お前がもっと早く来れば最長6ヶ月あった筈なんだがな」
他人事のように笑ったドフラミンゴは、率直に呼び出さなかったことは完全に棚に上げているらしく、名無しが悪いということになっている。
「……実は本業がありまして」
「お前の本業は鍛冶だろ」
「違うし!正義の味方だし!」
厨ニ専用贋作
「フッフッフッ、海軍なんて辞めりゃあいいじゃねェか」
「煩い!」
「そりゃあいい!」
「黙れシャンクス!本当に許さないからな!」
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