話をしても埒があかない為、窓から脱出しようとしたのだが、さすがは四皇と七武海。そう簡単には逃してくれるはずもなかった。
もう泣きたくなってきた。
「肝心の涙は一滴も出てこないけどな!ハハッ!」
「フッフッフッ、商談から逃げるとはどういう了見だ」
「いやいや、商談?違うね!これは強者によるただの搾取だ!!」
不気味に肩を揺らしながらサングラスを光らせるドフラミンゴを、軽く貧乏揺すりをしながら睨み返す。
話は聞かなくてもわかっている。どうせまた刀を造れとかむちゃ振りしてくる気なのだ。
シャンクスはドフラミンゴとのじゃんけんで負けたので、大人しく酒を飲みながら話が終わるのを待っている。
もうこの場にサカズキが落ちてきてくれたらいいのにと思う。
「フッフッフッ!お前、まだ一刀斎探してるんじゃねェのか?」
「なんて白々しい!売り飛ばしたのはテメェだろ!どの面下げてそんなこと言ってんだコンニャロメー!」
ピンクの趣味の悪いモフモフを思いきり掴むと、ぶちぶちっと根元が千切れるような音が聞こえた。
力強く掴んだせいで、ドフラミンゴの首がぐらりと大きく揺れて、趣味の悪いサングラスに光が走る。
「知らねェなぁ。商談を進めるならお前の言うことを一つだけ聞いてやってもいいぜ?」
「一つだけってところがケチ臭いぞ!」
モフモフを掴んでいた手で首を掴んでみたが、筋肉が凄すぎて掴んでいる気になれなかった。敗北感がヤバイ。
「いや、待てよ。なんでも一つ言うこと聞いてくれんの?なんでも?」
ケチ臭い提案に乗る気にもなれず、一蹴してやろうと思ったが、一瞬脳裏に人間オークション会場での一件がチラついた。
「叶えられる範囲ならな」
フフフ、と白い歯を見せながら笑うドフラミンゴは、ちぎれてしまったピンクの羽をクルクルと回す。
「今回の人間オークションの商品を条件なしで解放とかどうよ」
ドフラミンゴの指の間でクルクルと回っていたピンクの羽をむしり取って、その場に捨てた。
サングラスにピンクの羽がゆっくりと床に落ちた瞬間、ドフラミンゴは楽しそうに口を歪ませて笑ってみせた。
「交渉成立だ」
気まぐれな正義のミカタ
「オークションごと潰せばよかったんじゃないのか?」
「はっ!!」
「変更は認めねェ」
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